絶好調が続いていた米国株式市場ですが、9月3日に突如として急落しました。まあ、それまでの上げがけっこうハイスピードだったので、ちょうどいい調整かと思って気にしていなかったのですがが、米国の個人投資家の中には大きな打撃を受けた人もいたようです。
米個別株オプションに熱狂した個人投資家、株急落で大やけど(ブルームバーグ)
どうも個人投資家がオプション取引で焼かれるのは、世界共通の現象のようです。
オプション取引自体はごく普通の金融取引であり、プロの間ではリスクヘッジの方法として広く使われています。ただ、ひとことでオプション取引と言っても、オプションの「買い」と「売り」は、まったくリスクの性質が異なります。オプションの「買い」は相場急変に備えた一種の保険(オプション料の支払いは、いわば保険料)として利用されるのに対して、オプション売りはかなり投機的な行為だからです。このあたりの仕組みは、これまでこのブログでも紹介してきました。
カルロス・ゴーンを奈落の底に落としたオプション売り―庶民はオプション売りを組み込んだ金融商品に近づいてはいけない
オプションの「売り」は損失が青天井になる可能性があるため、個人投資家が軽々に手を出すべきものではないのですが、やはり目先のオプション料収入に目がくらんで手を出す個人投資家が後を絶ちません。そして案の定、相場急変時に根こそぎ焼かれてしまうのでした。ブルームバーグの記事でも、今回の相場急変でオプション取引に手を出した個人投資家の問題を次のように書いています。
タイミングの悪いオプション取引に伴う危険性は深刻だ。初心者トレーダーがそれをどれだけよく理解しているかは、ウォール街での議論の的となっており、小口トレーダーがツイッターで8月に投資成果を誇示する中、ベテラン投資家は懐疑的な目で見ていた。リスクを予見したていたかどうかにかかわらず、デイトレーダーは3日以降、リスクをもっと理解するだろう。結局、オプション取引の仕組みもよく理解していない個人投資家が大やけどするという構図は、日本も米国の変わらないわけです。ちなみに、Twitterで投資成果を誇示するいきりツイートが登場するという現象も、やはり日米共通なのはなんとも可笑しい。
オッペンハイマーのインスティチューショナル・エクイティーデリバティブ責任者、アロン・ロジン氏は「初心者投資家の多くにとってこれは最初の痛手だろう」と述べ、「彼らがいつ大やけどするのだろうかという疑問なら、その答えは今日目の当たりにした」と語った。
こういう事象を目にするたびに、やはり個人投資家は投資における“オーソドックス”という意味をもう一度深く考えるべきだと強く感じるのでした。
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