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2020年5月30日

新型コロナ終息後には肥沃の広野が待っている―武者先生のコロナパンデミック中間総括



先日、エミン・ユルマズさんの「日経平均30万円」説を紹介したのですが、やはり強気の株価予想と言えばこの人、武者陵司さんです。なにしろ以前から2033年から34年頃には「日経平均10万円」が視野に入ると唱えていました(関連記事:武者先生の日経平均10万円説)。その武者先生、今回の“コロナ・ショック”に対しても強気の見通しを出してきました。

コロナパンデミック中間総括(武者リサーチ)

コロナパンデミックによる暴落は、日本株式長期上昇のステップボードになるそうです。

あいかわらずアクセル全開の武者先生ですが、やはり論理構成は一貫しているので読んでいて楽しいです。なによりユニークだと思ったのは「コロナパンデミックという世界的惨事が歴史の流れをせき止めていた障害物を一気に押し流し、長期的に経済成長率を高め、株価を押し上げる」という指摘です。

コロナ以前から歴史的趨勢として「IT・ネット・デジタル化」「大きな政府」「国際分業の再構築(脱中国)」があったわけですが、その流れを阻害する要因が今回の新型コロナパンデミックで、いわば強制的に排除されてしまったというわけです。「本来なら何年もかけ多くの失敗の後にようやくたどり着くであろうこれらの結論に、コロナパンデミックにより瞬時に到達できた、このことの意義は大きい」という指摘は、言われてみればなるほどと思います。

というのも、こうした指摘は個人的な実感とも一致するところがあるからです。例えば私は零細企業に勤めていますが、その勤務先ですら今回のパンデミックをきっかけに在宅ワークを導入するようになりました。また、経営が苦しくなっているにも関わらず、わずかですがIT投資を増やそうとしています。まさに武者先生が指摘するように企業にとって「インターネット活用の障害物、古い制度・習慣・変わりたくない抵抗勢力が吹き飛んだ。人と人との直接接触を避ける切り札としてのネット化が、有無を言わせない至上命令となった」わけです。

今回の新型コロナパンデミックで社会経済の仕組みは大きく変化する可能性が高いわけですが、それは言い換えると、経済にとって唐突に新たなフロンティアが拓けたことを意味するのかも知れません。コロナ以前とは異なる需要が生まれ、それに合わせて新しい生産体制が構築されていくとすれば、それこそが成長の源泉となります。「コロナパンデミックがいつ終わるかはわからない。しかし終息の後には肥沃の広野が待っているだろう」という武者先生の指摘は、とかく悲観論が強まる現在の状況において、なんとも心強い言葉です。ぜひ、そうなって欲しいものです。

ところで、「日経平均10万円」説の武者先生と「日経平均30万円」説のエミン・ユルマズさんによるなんとも愉快な対談がアップされています。

どうなる!アフターコロナの経済《世界篇》――武者陵司×エミン・ユルマズ(WiLL Onilne)
どうなる!アフターコロナの経済《日本篇》――武者陵司×エミン・ユルマズ(同)

こういう景気のいい話は読んでいて楽しい。エミンさんだけでなく武者先生も新刊『アフターコロナ V字回復する世界経済』を出すようなので、これもちょっと読みたくなりました。





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