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2019年8月30日

初心者が養分にされた仮想通貨投資



最近はすっかり仮想通貨(暗号通貨)の話を聞かなくなりました。一時の盛り上がりは何だったのかと思ってしまいます。その仮想通貨投資ですが、なかなか厳しい現実が分かる記事が出ていました。

仮想通貨投資の勝率は3割 半数が元手1000万円以上(NIKKEI STYLE)

結局、若い投資初心者が養分にされてしまいました。やはり投機的な運用の世界は厳しいのです。

仮想通貨は2017年後半から18年初めにかけて異常な盛り上がりを見せ、仮想通貨取引業者のテレビCMが連日流れるなど今から考えると異常な状態でした。「寝ている間にお金が増える」といったパワーワードも登場します。しかし、18年1月の不正流出事件をきっかけに暴落し、当局による規制強化もあって18年は年間の下落率が8割近くになりました。

こうした中、大きな損失を被ったのは若い投資初心者でした。そして、しぶとく市場に残っているのは、こうした投機的な投資で経験豊富なベテランたちです。記事では次のようにまとめています。
18年調査ではバブルの中、若い投資初心者が仮想通貨投資に手を出し損失を被ったという構図があった。相場低迷によりこうした初心者の一部が退場。代わりに相場で存在感を増したのは、変動率の大きい相場を経験しているベテラン投資家だ。彼らの中には、FX(外国為替証拠金)取引やシステムトレード、テクニカル取引など短期取引をもともと行っていた人が少なくない。
やはり投資初心者が養分にされてしまったのです。ただ、厳しい言い方かもしれませんが、これも投資の厳しい現実です。投資は常に自己責任が貫徹される営みです。とくに通貨取引など投機的な側面の大きい分野は、まさにゼロサムゲームの世界ですから、弱いものは養分として骨の髄までしゃぶられてしまう。悲しいけど、これ投機なのよね。

だから、投資初心者が仮想通貨取引で大きな損失を被ったと聞いても、気の毒には思うけれども、やはり自業自得だと感じてしまうのです。そして、やはり投資初心者が仮想通貨や、あるいはFXなども含めて、投機的な取引をするべきではないとも改めて思います。それは例えば、自動車の運転免許を取ったばかりの若葉マークドライバーが、いきなりF1に参戦するようなものだからです。第1コーナーでクラッシュするのは必然でしょう。初心者がリスク資産に投資するなら、まずはインデックスファンドやETF、あるいは優良企業の個別株を買うあたりから始めるべきなのです。

そして何より、投資初心者を安易に投機の世界に誘うような煽り行為を続けた業者や一部メディアの罪は大きかったと思う。なぜなら、損失を被った投資初心者は「投資はクソ!」といった印象を強めてしまい、二度と投資の世界に戻ってこない場合が多いからです。そうやって日本でますます投資という行為が一般化しないという悪循環となるわけです。その意味でも、昨年の仮想通貨バブルとその崩壊は大きな傷跡を残したように感じます。

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