フィデリティ投信のサイトに興味深いコラムが掲載されていました。米国の確定拠出年金(DC)に15年継続して掛金を拠出している加入者の平均残高が、なんと約50万ドル(約7500万円)に迫るそうです。
米国のDCは、企業の従業員を対象とした401(k)と非営利組織の従業員が対象の403(b)があります。フィデリティの調査によると、加入者の個人口座残高の平均は401(k)が11万8600ドル(約1800万円)、403(b)が10万6100ドル(約1600万円)となります(2023年末段階)。さらに15年継続加入者の平均額を見ると、なんと約50万ドル(約7500万円)に迫る勢いだとか。最近の株式市場の好調もあって、長期継続投資の効果は絶大です。
米国のDCがこれだけ迫力のある数字になる理由は、やはり掛金を大きくできるからでしょう。23年末段階での掛金の平均は給与の13%強の数字になっています。つまり、月収30万円なら4万円ほど拠出していることになる。米国は日本より高収入のサラリーマンが多いでしょうから、実際はかなりの金額をDCに拠出している加入者がおり、それが大きな残高へと成長しているのでしょう。
ただ、そんな米国でも加入初期の掛金は給与の4%程度が平均値だ。つまり、収入が少ない若い時は無理のない範囲で拠出し、収入が増加するのに合わせて徐々に掛金も増やしているということです(ちなみに米国の401(k)の年間拠出額上限は50歳未満が2万2500ドル、50歳以上は3万500ドルです)。そして引き出しが義務付けられている73歳まで拠出と運用を続ける人も多い。15年継続加入者の残高平均が約7500万円ですから、73歳まで拠出・運用を続けた人の中には、残高が1億円を超える人もかなりいることは容易に想像できます。
DCだけで“億り人”が生まれるわけですから、さすが米国だと思わざるを得ません。しかし、今後は日本でも同様の状況が生まれるかもしれません。現在、日本のDCは個人型(iDeCo)だと年間拠出金上限が27万6000円であり、米国の401(k)の拠出上限額と比べて小さいのですが、これにNISAの投資枠360万円(積立投資枠120万円、成長投資枠240万円)を加えると良い勝負になります。ですから今後、日本でもiDeCoとNISAの積立投資だけで“億り人”がどんどん生まれるかもしれません。そうなると、「投資」という言葉からイメージする風景が現在とは大きく変わっていくことでしょう。今はまさにそういった転換期なのかもしれません。
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