サテライトポートフォリオで少しだけ積立投資しているピクテ・ジャパンの低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の2023年11月次運用報告書の定例ウオッチです。「iTrust世界株式」の11月の騰落率は+7.64%、参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込み)の騰落率は+7.66%でした。ほぼ参考指数に追随した結果となっています。さて2023年もまもなく終わりです。来る2024年の市場がどうなるか気になるところ。この点に関してピクテは「米国の優位性にかげり」と予想しています。
11月は米国の連邦準備制度理事会(FRB)や英国のイングランド銀行(BOE)が政策金利を据え置いたことで利上げ終了観測が強まり、株式も上昇しました。欧米企業の決算が良好だったことも好材料となり、月間ベースでは大幅な上昇となりました。業種別では、エネルギーを除くすべての業種が上昇し、特に情報技術、不動産、一般消費財・サービスなどが好調でした。
さて、2023年もまもなく終わり、運用会社からは2024年に向けた展望が出始めています。ピクテも「iTrust」シリーズの受益者に配信される機関投資家向けレポート「Barometer」12月号で2024年の投資環境を展望していますが、「米国の優位性にかげり」との分析を示しました。ピクテによると2024年は先進国経済の鈍化が続き、とくに米国は劇的な減速に陥る可能性があるとか。米国の実質GDP成長率も2023年の2.4%から2024年は0.9%まで低下すると予想しており、こうした米国の低成長を投資家は過小評価していると警鐘を鳴らしています。
一方、期待できるのが欧州と日本。欧州企業の業績予想は米国企業と比べて控え目に推移しているため投資家が悲観するようなケースは少ないことやユーロ圏株式のバリュエーションが過去に例がないほど割安になっていることから、投資対象としての旨味が増しているということです。また、日本は企業の業績予想の上方修正が他の地域と比べて際立っており、企業のガバナンス改革やデフレ脱却の効果も株価には追い風になるとのことです。
2024年のグローバル株式市場は、米国株の優位性に一服感があり、それに代わってユーロ圏と日本、そして新興国がリードする展開になりそうというのがピクテの見立て。このため推奨ウェイトも米国株をアンダーウェイトに引き下げ、ユーロ圏株をニュートラルに引き上げました。日本株は引き続きオーバーウェイト推奨です。
日本でも近年は「米国株にさえ投資していれば大丈夫」という風潮が強かったのですが、もしかしたら2024年はそういった安直な投資姿勢では痛い目を見るかも。ピクテの予想がどこまで当たるかは分かりませんが、やはり幅広い地域に分散して投資することの重要性が改めて認識される年になるかもしれません。
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