三菱UFJ国際投信が超低コストインデックスファンド「eMAXIS Slim全世界株式」3ファンドと「eMAXIS Slim新興国株式インデックス」の信託報酬を2023年9月8日から引き下げると発表しました。
野村アセットマネジメントが新規設定する「はじめてのNISA」シリーズへの対抗値下げに踏み切ったわけです。既に日本の一般販売向けインデックスファンド市場ではトップシェアを持つ「eMAXIS Slim」シリーズですが、その地位は絶対に明け渡さないという三菱UFJ国際投信の並々なむ決意を感じました。
このほど信託報酬が引き下げられるのは、「eMAXIS Slim」シリーズの全世界株式(オール・カントリー)、同(除く日本)、同(3地域均等型)の3本と新興国株式インデックスファンドです。引き下げ後の信託報酬は以下のようになります。
野村AMが「はじめてのNISA」シリーズで従来水準を大幅に下回る信託報酬を打ち出したとき、はたして「eMAXIS Slim」シリーズが対抗値下げに踏み切るか注目だったわけですが、三菱UFJ国際投信は思い切って踏み込んできました。
背景にあるのは、「はじめてのNISA」シリーズの販売戦略でしょう。もし「はじめてのNISA」シリーズが野村系の販売会社でのみ取り扱われる“顧客囲い込み用商品”だったら、三菱UFJ国際投信はきっと無視したはず。ところが「はじめてのNISA」シリーズはSBI証券などネット証券でも販売されることになり、いわば野村AMがガチンコ勝負を挑んできたわけです。そうなると三菱UFJ国際投信も受けて立つしかありません。
いずれにしても来年から始まる「新NISA」に向けてインデックスファンドの低コスト競争が一段と激化しました。これは当然のことで、そもそもインデックスファンドという商品はコストの安さが競争力の源泉です。だから、低コスト競争から逃げることはファンドの将来を自ら閉ざすことを意味します。
しかし、これだけ低コスト化が進めば、いよいよインデックスファンドの競争も最終局面に入ったと思います。もともとインデックスファンドは規模の経済が働く商品のため、どうしても寡占が進みます。恐らく将来的に日本のインデックスファンドも各資産カテゴリーごとに2~3本に集約されるでしょう。その限られた席を巡って、運用会社の競争が続くことでしょう。
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