年明け早々から仕事にプライベートにとやたら忙しく、すっかりブログの更新も滞っています。投資の方もまったく見てる暇がないのですが、今年最初の投資としてSBI証券のプランで拠出している個人型確定拠出年金(iDeCo)の1月の買付(2022年12月拠出分)が約定しました。そのiDeCoですが、今後は運用制度としてのメリットが剥落するといった指摘が出ています。
SBI証券のiDeCoオリジナルプランで買付けたファンド・商品は以下の通りです(カッコ内は信託報酬)。いつも通りのポートフォリオとなっています。
【個人型確定拠出年金(SBI証券iDeCoオリジナルプラン)】
「三井住友・DCつみたてNISA・日本株式インデックスファンド」(0.16%)
「DCニッセイ外国株式インデックス」(0.189%)
「EXE-i新興国株式ファンド」(0.23%+投資対象ETF信託報酬0.1085%程度)
「EXE-iグローバル中小型株式ファンド」(0.23%+投資対象ETF信託報酬0.058%程度)
「野村外国債券インデックスファンド(確定拠出年金向け)」(0.14%)
「三菱UFJ DC新興国債券インデックスファンド」(0.34%)
「三井住友・DC外国リートインデックスファンド」(0.27%以内)
「あおぞらDC定期」
累積損益率は1月24日段階で+36.9%となっています。あいかわらず世界的に不安定な相場続いており、円高による海外資産カテゴリーの評価額目減りもあって運用成績もヨコヨコの展開が続いています。
さて、iDeCoは個人投資家にとって税制面を含めて非常に有利な運用制度として加入者を増やしてきました。ところが、ここにきてメリットが剥落するとの指摘が出ています。背景にあるのが、2024年から始まる見通しの新NISAの存在です。少し古いですが、モーニングスターに次のような記事が出ています。
NISA恒久化によって超長期運用が可能になると、iDeCoは商品が限定されていることや60歳まで現金化できななどの制約のデメリットが大きくなるということです。また、記事には書かれていませんが、税制優遇もiDeCoの場合は厳密には課税繰り延べであるため、加入者の条件によってはメリットが小さいケースもあります。国民年金基金連合会への手数料負担もあります。こうしたことを考慮すると、今後は「NISAの利用拡大と同じくして、iDeCoの新規加入の伸びは低下していくと考えられる」という予想は大いにあり得るでしょう。
では、本当にiDeCoのメリットは剥落するのでしょうか。私は、そんなことはないと思います。それどころか、ある意味で“本当にiDeCoが必要な人”が明確になり、そういった人のための運用として、ますます重要になるような気がします。これは個人型DCであるiDeCoだけでなく、企業型DCでも同様でしょう。そういう意味で、今後はiDeCoや企業DCの本当の目的や本当に必要な人とは何なのか、誰なのかという問題がますますクローズアップされることになるでしょう。
iDeCo本来の目的、そして本当にiDeCoが必要な人は誰なのかについては、近々あらためてブログでまとめようと思っているのですが、農林中金バリューインベストメント常務で、ユニークなアクティブファンド「おおぶね」シリーズのファンドマネージャーである奥野一成さんが面白いツイートをしていたので紹介しておきます。かなりの部分で同感できる見識です。
敢えて言おう、DC(確定拠出型年金)こそが、すべての労働者が最初に使うべき無税投資枠であると。
— 奥野一成|おおぶねファンドマネージャー (@okunokazushige) January 7, 2023
掛金(投資金額)が全額所得控除+投資にかかる税金もなし
流動性の低さはこの制度が、運用そのものではなく、年金組成を支援するものだからであり、心の弱い人間の本性を考えればむしろメリット
【ご参考】
iDeCoに加入する場合、金融機関によって手数料や商品ラインアップが異なることに注意が必要です。現在、iDeCoプランの選択肢としてお薦めなのは運営管理手数料が無条件無料で低コストインデックスファンドをそろえるSBI証券セレクトプラン、楽天証券、マネックス証券、松井証券、イオン銀行です。iDeCoへの加入を検討している人は、これら金融機関のプランを研究することをお勧めします。いずれもネットから無料で資料請求できます。⇒SBI証券確定拠出年金プラン、楽天証券確定拠出年金プラン 、マネックス証券確定拠出年金プラン、松井証券確定拠出年金プラン、イオン銀行確定拠出年金プラン
iDeCoは公的年金を補完する制度ですから、これを活用する前提として日本の公的年金制度について勉強することを強くお勧めします。この点に関しては、権丈善一先生の『ちょっと気になる社会保障』が最良にして必読の入門書です。このほど、三訂版『ちょっと気になる社会保障 V3』が刊行されました。また、iDeCoも含めて現在の公的年金制度を徹底的に利用するための戦略書として田村正之さんの『人生100年時代の年金戦略』が非常に網羅的にまとめられていてお勧めです。家計管理から貯蓄・投資、公的年金やiDeCo・つみたてNISA活用までトータルに解説している竹川美奈子さんの『50歳から始める! 老後のお金の不安がなくなる本』も老後資金について“自分ごと”として考えるための方法論を丁寧かつ詳細に論じた優れた入門書です。
iDeCoは制度がやや複雑なので加入を検討する場合は解説書を読んで研究することもお勧めします。大江英樹さんの『はじめての確定拠出年金投資』、山崎元さんの『確定拠出年金の教科書』『シンプルにわかる確定拠出年金』、田村正之さんの『はじめての確定拠出年金』などが優れた解説書ですが、最新の制度改正にも対応した入門書として竹川美奈子さんの『[改訂新版]一番やさしい! 一番くわしい! 個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)活用入門』と大江加代さんの『最強の老後資産づくり iDeCoのトリセツ 2022年施行 法改正完全対応版』を挙げておきます。
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