サテライトポートフォリオで積立投資している「ひふみ投信」の2022年8月次運用報告書が出ました。8月の騰落率は+1.95%、参考指数であるTOPIX(配当込み)の騰落率は+1.21%でした。純資産残高は8月31日段階で1413億円(前月は1389億円)、ひふみマザーファンドの純資産残高は7019億円(前月は6861億円)となりました。久しぶりに参考指数をアウトパフォームしており、少しずつですが“らしさ”が戻ってきたような気がします。
8月は前月に続いてインフレ懸念が若干後退したことで世界の株式市場も堅調な展開が続きましたが、月後半からは欧米中央銀行の金融引き締めへの懸念が再燃したことで売りが優勢になり、月中の高値から大きく失速しました。このため日本株も売り優勢となっていましたが、円安など海外投資家から見ての好材料もあって米国株ほど大きく崩れることはありませんでした。
こうした中で「ひふみ投信」は参考指数を上回ることができたのですが、ポートフォリオの中身を見ると、ようやく“らしさ”が戻ってきたような気がします。7月までは大型優良株中心の守備的なポートフォリオだったものが、やや意外性のある銘柄が保有上位に顔を出すようになっています。
佐々木靖人ファンドマネージャーも市場に変化を感じているようで「6月から中旬から始まった成長株の物色相場は、8月の後半で終わったと考えています」と指摘しています。ただ、この動きは長く続かないというのが佐々木さんの読み。このため8月以降に備えて、① 中小型株の調査数を急増させ、組み入れた② 外需企業(海外売上高比率の高い会社)への投資比率を下げた③ 内需企業(国内売上高比率の高い会社)への投資比率を上げた―という3つの施策を実施したそうです。
①については、新型コロナウイルス禍を乗り越えて好業績を出すような“掘り出し物”の中小型株が増えてきたからです。②はウクライナ紛争など地政学的リスクや米国の利上げなどを勘案し、いまは逆張りする時ではないという判断。③は、日本には依然としてインバウンドへの期待があるほか、物価高も海外と比べれば「小さな話題」にすぎないレベルにとどまっているという考えです。
そもそも海外株と比較すると、日本株はかなり安定した存在であり、「調査活動が投資収益に結びつく確率が上がっている」というのが佐々木さんの見立て。受益者の1人として、大いに期待したいと思います。
【ご参考】
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