ネット証券大手のSBI証券と楽天証券の全面戦争が激化してきました。きかっけは楽天グループで投資信託積立や保有に関連するポイント付与サービスで改悪が続いていることです。
こうした動きを見てすぐに動いたのがSBI証券。さっそく投信移管入庫で最大10万ポイント、ハズレ無しで全員に1000ポイントを付与するキャンペーンを始めています。
ハズレなし!当社への投信お乗り換えが超おトクキャンペーン(SBI証券)
ネット証券といえば、かつてはSBI証券が最大手として君臨していたのですが、最近は楽天証券の勢いが勝っていました。楽天証券が躍進した要因の一つが、「楽天経済圏」といわれる包括的なサービスと、それに付随するポイントサービスでした。楽天市場、楽天カード、楽天銀行、楽天証券を使うことで楽天スーパーポイントがかなり貯まり、それで投信を購入できるメリットが非常に大きかったわけです。
ところが、ここにきて風向きが変わりました。楽天グループは携帯電話など新事業への大型投資もあり、グループ業績は短期的にはそれほど楽ではありません。実際に2021年度業績は第3四半期(21年1~9月)まで大幅な赤字決算となっています。そうした中、やはりポイントの大盤振る舞いができるような余裕がなくなってきたんでしょう。
ここを突いてきたのSBI証券。あざといまでのキャンペーン攻勢で楽天証券からユーザーを奪おうという戦略です。ちなみにSBIホールディングスの2021年度第3四半期(21年4~12月)業績は新生銀行連結前の参考値でも売上高、税引前利益、純利益ともに過去最高の数字となっています。まだまだ余裕があるとこを見せつけたということでしょうか。
ポイントサービスというのは基本的におまけですから、それをもって証券口座選択の唯一の材料にするというのはナンセンスです。しかし、投資信託というのはどの金融機関で購入・保有しても中身は同じなので、少しでも付帯サービスが充実しているところで購入すべきというのも厳然たる事実です。
こうしたことを考えると、SBI証券と楽天証券のどちらをメイン口座として選択するのかというのは、個人投資家にとって大きな問題になります。ポイントサービスこそ改悪されましたが、やはりネットショッピングからクレジットカード、銀行、証券までワンストップで利用できる楽天グループのメリットは大きい。一方、SBIグループのフレキシブルな(あるいは節操のない)サービス導入方針というのは、やはり個人投資家にとってメリットの大きいものです。結局、このあたりは個人投資家の好みの問題に帰着するのでしょう。
ただ、こうした競争の激化は、総体としては業界全体のサービス向上につながるものですから、個人投資家としては大歓迎です。野次馬的にもSBI証券vs楽天証券というのは面白い。今回のSBI証券の投信移管入庫キャンペーンが始まったときも、楽天証券の動きを知った“あの人”が、朝イチでSBI証券の社長を呼び出して「敵がヘタ打ってる今がチャンスや。すぐに客を奪ってこい」と激詰めしている様子を想像してしましました。私のようなSBI証券のユーザーが言うのもなんですが、やっぱりSBIというのは、そういうイメージなのです。
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