日本だけでなくどの国でも定期的に大規模な投資詐欺事件が起こります。また、ぼったくりの悪質な金融商品に手を出して痛い目を見る人も少なくありません。なぜ、こうした事例が後を絶たないのでしょうか。それは、個人の間で被害経験の共有と蓄積があまり進まないからです。そうした観点から、相互リンクいただいている夢見る父さんが面白いサイトを紹介してくれていました。
うまい話がきたらまずチェックしたらいいサイト(夢見る父さんのコツコツ投資日記)
金融広報中央委員会の「わたしはダマサレナイ!!」は、私も以前によく読んでいたサイトです。久しぶりに見てみたら、ぜんぜん内容が陳腐化していないことに逆に驚きました。夢見る父さんが指摘しているように、かなり以前から存在する騙しの手口が、あいかわらず繰り返されているわけです。
さすが同じ手口がいつまでも続くとなると、騙される方にも落ち度があると思うかもしれません。しかし、それこそが投資詐欺や悪質な金融商品に引っかかる人がなくならない真の問題点なのです。つまり、騙される人は常に“新規参入者”だという問題です。
投資詐欺や悪質な金融商品に引っかかった人の多くは大きな損失を抱えることになり、かなりの人が「投資は怖い」「投資の世界は詐欺ばかり」といった言葉を残してマーケットから退出してしまします。こうした人が再び騙されるようなことは少ないでしょうが、同時に投資の世界に戻ってくることも稀です。
やがて、しばらくすると新規に投資の世界に参入してきた初心者が甘い勧誘の言葉に引っかかる。そして、再び騙されてはマーケットから退出する。しばらくすると、また新規参入者がやってきて・・・この繰り返しで、被害経験が蓄積されません。
これは考えてみれば当然の話です。そもそも投資詐欺や悪質な金融商品というのは、最初からリピーターを期待しておらず、つねに新規客を食い物にする焼畑農業的ビジネスモデルだからです。これはぼったくりバーが、100%新規客だけをターゲットにしているのと同じ構図です。
こうしたことを考えると、被害経験の共有と蓄積がどれほど重要か分かります。実際に被害に遭うわけにはいきませんから、「わたしはダマサレナイ!!」のような形で情報を蓄積し、公開することは極めて重要なのです。だから、私も夢見る父さんの「せめて、こうしたサイトがあるということをしっていれば、うまい話がきたときにチェックするだけで消費被害に巻き込まれずにすみそうです。」という指摘に全面的に同意します。
そこでもう一つ、投資や金融商品でうまい話があると感じたら、チェックして欲しい本を紹介しておきます。吉本佳生『金融広告を読め どれが当たりで、どれがハズレか』 (光文社新書)です。
ちょっと古い本ですが、これはなかなか強烈な1冊です。実際に存在した金融商品広告をベースにしたサンプルを使い、いかに誤解を招く表現によって消費者を集めているのかを500ページ超にわたって、これでもかと指摘しています。まさに悪質な金融商品から身を守るために被害経験の共有と蓄積が可能な1冊でしょう。
“コロナ・ショック”をきっかけに「これから投資でもしてみようか」と考える人もいることでしょう。そういった人は、ぜひ金融広報中央委員会の「わたしはダマサレナイ!!」や、吉本さんの本などを読んで、実際に騙される前に“被害経験の共有と蓄積”をして欲しいと思います。
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