既に話題になっていますが、SBI証券が大胆な施策に打って出ました。なんと10月1日から1日の約定代金100万円まで取引手数料を無料化します。
1日の約定代金最大300万円まで手数料0円!これぞ業界NO.1!(2020/10/1~)(SBI証券)
私はSBI証券をメーン口座に利用しており、インデックスファンドの積立以外にも個別株やETFを購入しているので、今回の手数料無料化は嬉しい限りです。同時に、いよいよ日本でもオンライン取引における手数料無料化の波が本格的に到来したという印象を強く受けました。
今回のSBI証券の手数料体系改定によって、1日の約定代金に応じて手数料が決まるアクティブプランを選択している口座開設者は、1日の売買で現物100万円+信用(制度)100万円+信用(一般)100万円=合計300万円まで手数料0円となります。
最近は個別株も買付単位株数が100株になっているので、現物の100万円枠だけでもほとんどの銘柄を買い付けることができます。まさに小口の個人投資家にとって優しい制度でしょう。これにより小口で個別株を買うのが非常にやりやすくなりますし、ETFを積立のように定期的に購入する場合の手数料負担も大幅に減ります。
いよいよ日本でもオンライン株式取引の手数料無料化の波が本格的に到来したと感じました。じつは現在、米国を中心にオンライン取引の手数料無料化の競争が激化しています。オンライン証券が無料化を主導し、大手も対抗して無料サービスを拡大しています。例えば昨年末には、次のようなニュースがありました。
米ネット証券各社の株価急落、シュワブ手数料撤廃で競争激化へ(ブルームバーグ)
Eトレードも手数料撤廃-米証券業界、競争激化で合併観測強まる公算(同)
フィデリティ、オンライン取引の手数料撤廃-価格競争に参戦(同)
BofA、手数料無料の取引さらに拡充-競争の激しさ浮き彫りに(同)
さすがに米国は日本以上に競争が苛烈ですから、金融機関の株価が低下するほど手数料競争が激化しています。合併観測が出るなど、淘汰による業界再編の可能性もささやかれています。
こうした動きは、いずれ日本でも顕在化してくるでしょう。証券会社には取引手数料収入以外に信用取引金利などによる金融収入や自己勘定取引によるトレーディング収入がありますから、小口の売買手数料を無料化したぐらいですぐに経営が苦しくなるということはないでしょうが、言い換えると手数料以外の収入源が小さい証券会社は、相当苦しくなると思う。
ただ、だからと言って私は手数料無料化の流れが悪いとは言いません。なぜなら、消費者にとって喜ばしいことだからです。そして、手数料無料化によって金融機関の収益が苦しくなり、淘汰と再編の波が押し寄せたとしても、それは単に産業構造の変化にすぎないからです。過去にも繊維、造船、鉄鋼など多くの産業がたどってきた道であり、順番が金融にも回ってきたにすぎないわけです。これは誰かが悪いという問題ではありません。
そういった避けようのないトレンドや変化に向けて、SBI証券はいち早く舵を切ったわけですから、その勇気や良し。ぜひ頑張って欲しいと思います。同時に、この動きに追随する金融機関が登場し、健全な競争によって個人投資家にとっての投資環境がさらに良くなることを期待したいと思います。
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