日銀の資金循環統計によると2020年6月末段階での個人金融資産は、前年比34兆円増(1.8%増)の1883兆円となったそうです。四半期ベースで見ても20年4~6月期は前期比55兆円増と大幅に増えています。新型コロナウイルスのパンデミックで経済は大きな打撃を受けたのですが、皮肉なことにパンデミックによる消費減少や特別定額給付金の支給などが資産を押し上げました。とくに増えているのが現預金、残高は1031兆円と過去最高を更新したそうです。こうした数字を見ると、個人投資家なる存在は、まだまだ“少数派”なのだという現実にあらためて気づかされます。
日銀の資金循環統計については、ニッセイ基礎研究所が分かりやすい解説を書いてくれています。
資金循環統計(20年4-6月期)~個人金融資産は株高・給付金・消費減の影響で3月末比55兆円増と急回復、現預金は過去最高に(ニッセイ基礎研究所)
個人金融資産における現預金が過去最高の水準となる中で、株式や投資信託などリスク性資産への資金流入は増えていません。確定拠出年金の投資信託への資金流入が堅調なほかは、資金の純流出となっています。つまり、記事が指摘するように「4-6月は個人金融資産への資金流入(積み増し)が進んだものの、大半は流動性預金に滞留しており、「貯蓄から投資へ」の動きは見られない」というわけです。
こうしたデータを見ると、日本において個人投資家というのはまだまだ少数派だということが分かります。近年、個人型確定拠出年金(iDeCo)の拡大や「つみたてNISA」の登場によって投資の裾野が広がりつつありますが、全体として見れば、それはまだ微々たる存在なのです。
とはいえ、“コロナ・ショック”をきっかけに若い世代の中でリスク資産を活用した資産形成・運用を始めようとする動きが静かに始まっていることも感じます。こうした動きに対して、既に資産形成・運用に取り組んでいる人は、暖かい視線で接し、応援することが必要でしょう。なぜなら、“僕たちはまだ少数派”なのですから。
日本において個人投資家なる存在は、まだ少数派なのですから、まずは仲間を増やすことが大切だと思う。それは、少数派の内部でちょっとした投資手法の違いなどをめぐってマウンティング合戦を繰り広げるよりは、よほど意味のあることのはずです。今回、日銀のデータを見て、あらためてそう感じました。
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