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2019年12月21日

2020年はETF再評価の年になるのでは―三菱UFJ国際投信が全世界株式ETFを設定か



日経新聞によると、三菱UFJ国際投信が新興国を含む全世界株式指数であるMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(MSCI ACWI)に連動するETFの新規設定・上場を計画しているそうです。

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驚くべきは信託報酬の水準。なんと年率0.0858(税込)となるそうです。これは、やはりMSCI ACWIに連動する通常のインデックスファンド「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の信託報酬0.1144%(税込)を大幅に下回る水準ですから、新ETFが登場すれば現在の日本における国際分散投資のツールとして最終兵器となるかもしれません。2019年は通常のインデックス型投資信託が注目された年でしたが、2020年はETF(上場投資信託)が再評価される年になるかもしれません。

従来、ETFは通常のインデックス型投資信託と比較して信託報酬が低コストであることが魅力でした。ところが近年、通常のインデックス型投資信託の信託報酬が急速に低下し、ETFの方がコストが割高になるといった現象が起こっています。このため相対的にETFの魅力が低下していました。そこに三菱UFJ国際投信が超低コストの全世界株式ETFを新規設定するとなると、再びETFへの注目が高まるかもしれません。

なにしろ信託報酬が0.0858%というのは驚異的な安さです。例えば全世界株式に投資できる海外ETFとして日本でも人気の「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF」(VT)の経費率(トータル・エクスペンス・レシオ)ですら年0.09%ですか、三菱UFI国際投信の新ETFのコストの低さがいかに驚異的かわかります。おまけに国内上場ETFですから、海外ETFを購入する場合に必要な外貨調達のための為替コストも抑えられることも無視できません。

国際分散投資のツールとして通常のインデックス型投資信託が良いのか、ETFが良いのかは一概には言えません。あくまで好みの問題です。少額から定額積立しながら分配金も再投資するなら通常のインデックス型投資信託が便利ですし、ある程度のまとまった金額を一括投資して定期的に分配金を受け取りたいならETFを使った方が便利です。また、ETFのデメリットとされた売買手数料に関しても最近はネット証券を中心に無料化の流れがありますから、このデメリットもほとんど解決されています。

こうしたことを考えると、2020年はETF投資が再評価される年となるかもしれません。言い換えると、個人投資家のニーズに応じて通常のインデックス型投資信託と国内上場ETFのどちらを選んでも、より低コストで利便性の高い運用ができるようになるということです。とくにある程度まとまった資金を運用したいシニア層にとっては超低コストETF登場の恩恵は大きいのでは。まさにすべての世代の個人投資家にとって国際分散投資のための環境が一段と整備されることになります。

ただし、ETFは公開市場で倍されているため流動性の関係で基準価額と実際の市場価格が乖離するケースがあるとという問題があります。これを防ぐために東証がマーケットメイク制度を導入しており、一定の効果を上げています。せっかく魅力的な国内上場ETFが登場するのですから、ぜひとも東証にはマーケットメイク制度を強化して、基準価額と市場価格の乖離を抑える工夫を続けて欲しいと思います。

【ご参考】
ETFについて解説した簡便な入門書としては東京証券取引所監修のムック本『ETF(上場投資信託)まるわかり! 超活用術2019』があります。ここ数年は毎年改訂版が発行されており、2019年版では私も少しだけコメントを寄せました(『ETF(上場投資信託)まるわかり! 超活用術2019 』に私のETF投資術が掲載されました)。ETFに関心がある人は参照してみてください。

ETF(上場投資信託)まるわかり! 超活用術2019 (日経ムック)




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