カテゴリー

2019年6月19日

iDeCoは公的年金の受給年齢繰り下げ戦略にも活用可能―2019年6月の個人型確定拠出年金(iDeCo)積立と運用成績



6月は胆石性胆嚢炎のため入院・手術したりと大変な月でした。こういう時こそ積立投資の威力が発揮されます。SBI証券のオリジナルプランで拠出・運用している個人型確定拠出年金(iDeCo)の6月の買付(5月拠出分)が約定しました。iDeCoは金融庁が発表したいわゆる“老後資金2000万円”報告書でも言及されている老後に向けた自助努力の有力なツールです。例えば公的年金の受給年齢繰り下げ戦略にもiDeCoが活用できるのではないかということを考えています。

SBI証券のiDeCoオリジナルプランで買付けたファンド・商品は以下の通りです(カッコ内は信託報酬)。

【個人型確定拠出年金(SBI証券iDeCoオリジナルプラン)】
「三井住友・DCつみたてNISA・日本株式インデックスファンド」(0.16%)
「DCニッセイ外国株式インデックス」(0.189%)
「EXE-i新興国株式ファンド」(0.23%+投資対象ETF信託報酬0.131%程度)
「EXE-iグローバル中小型株式ファンド」(0.23%+投資対象ETF信託報酬0.104%程度)
「野村外国債券インデックスファンド(確定拠出年金向け)」(0.21%)
「三菱UFJ DC新興国債券インデックスファンド」(0.52%)
「三井住友・DC外国リートインデックスファンド」(0.27%以内)
「あおぞらDC定期」

6月18日段階での拠出開始来運用益は+11・6%となり、前月から若干増加しました。依然として市場環境は不安定で方向性がありませんが、いまのところは一応の小康状態を保っているといえそうです。

さて、金融庁が発表した「高齢社会における資産形成・管理」報告書をめぐる騒動が続いています。ただ、これをきっかけに公的年金への関心が高まり、少しでも正しい知識が広まるならば今回の騒動も怪我の功名となるかもしれません。金融庁の報告書でもiDeCoは自助努力の有力な自助努力のツールとして紹介されていますが、例えば公的年金の受給年齢繰り下げ戦略にもiDeCoを活用する方法があります。

公的年金(老齢基礎年金と老齢厚生年金)の受給年齢は65歳を原則として、60歳から70歳までの間で自由に選ぶことができます。そして受給開始年齢を70歳まで繰り下げると支給額は42%増加し、それが終身続きます(逆に65歳前に繰り上げると減少する)。このため一般的には受給開始年齢を繰り下げた方が公的年金の本来の目的である長生きリスクへの対応と比較的余裕のある老後資金の確保を両立できるとされるわけです。

ただし、受給年齢繰り下げの最大のハードルは、リタイアしてから年金受給が始まるまでの期間の収入をどうするかでしょう。例えば65歳まで働いたとして、70歳までの5年間の生活費をのように確保するかが問題となるわけです。私は、ここでiDeCoの活用があり得ると思います。

iDeCoの資産は60歳から70歳までの間に受給を開始しなければなりません。これを活用し、公的年金の受給受給開始年齢繰り下げによって生じる収入のない5年間の生活費の一助にする(もちろん、そのほかの資産の取り崩しや若干の労働による収入なども併用します)。こうやって空白の5年間を乗り切れば、あとは大幅に増額された公的年金の受給を終身で享受できます。

この戦略のポイントはiDeCo資産を先に使うことで、大幅に増加させた公的年金を終身で受給できるようにすることです。すなわち有限な私的年金資産を終身の公的年金資産に事実上変化させることができる。まさに有限を無限に転換させる戦略です。

もちろん、こうしたiDeCo活用戦略は一例にすぎません。しかし大事なことは、iDeCoに限らず老後に向けた自助努力というのは公的年金と組み合わせることで最大の威力を発揮するということです。自助努力を過大評価し、公的年金のような共助・公助の制度をバカにしてはいけない。そういった甘い老後資金戦略は間違いなく破綻するでしょう。あくまで公的年金を前提としてiDeCoなどの活用戦略を考える。これこそが共助と自助を組み合わせた老後資金戦略の基本なのです。

【ご参考】
公的年金からiDeCoなど自助努力のための制度まで網羅的に解説し、徹底的に活用する“戦略”を紹介しているのが田村正之さんの『人生100年時代の年金戦略』です。年金戦略を考える際に必読の1冊です。



iDeCoに加入する場合、金融機関によって手数料や商品ラインアップが異なることに注意が必要です。現在、iDeCoプランの選択肢としてお薦めなのは運営管理手数料が無条件無料で低コストインデックスファンドをそろえるSBI証券セレクトプラン、楽天証券、マネックス証券、イオン銀行、松井証券です。iDeCoへの加入を検討している人は、これら金融機関のプランを研究することをお勧めします。いずれもネットから無料で資料請求できます。⇒SBI証券確定拠出年金プラン楽天証券確定拠出年金プランイオン銀行確定拠出年金プランマネックス証券確定拠出年金プラン松井証券確定拠出年金プラン

また、iDeCoは、やや制度が複雑なので解説書を読んで研究するのも良いでしょう。解説書としては大江英樹さんの『はじめての確定拠出年金投資』山崎元さんの『確定拠出年金の教科書』『シンプルにわかる確定拠出年金』竹川美奈子さんの『一番やさしい! 一番くわしい! 個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)活用入門』田村正之さんの『はじめての確定拠出年金』大江加代さんの『図解 知識ゼロからはじめるiDeCo(個人型確定拠出年金)の入門書』を挙げておきます。









【スポンサードリンク・関連コンテンツ】