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2018年8月14日

新興国株式・債券は底値買いの好機か―「iTrust世界株式」の2018年7月の運用成績



サテライトポートフォリオで少額だけ積み立て購入しているピクテ投信投資顧問の低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の2018年7月次運用報告が出たので定例ウオッチです。「iTrust世界株式」の7月の騰落率は+4.56%、参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込み)の騰落率は+3.81%でした。ここ数カ月は参考指数に対してアンダーパフォームが続いていたのですが、7月は大きくアウトパフォームしました。米国発の世界貿易戦争の懸念などあいかわらず世界の株式市場は波乱含みですが、7月は比較的健闘したと言えそうです。そうした中、ピクテは新興国の株式と債券に底値買いの好機が来ていると分析しています。

7月のの株式市場は、米国が中国製品に対する関税発動を予定通り開始し、中国も報復措置を発動するなど波乱のスタートでしたが、材料出尽くし感から株式市場は上昇しました。また米雇用統計で非農業部門雇用者数が市場予想を上回って増加したことも株式市場を下支えしたようです。中旬以降も、企業決算への期待、米国経済の堅調から貿易摩擦の影響懸念も後退して上昇基調で推移しました。月末には情報技術セクターが下落しましたが、月を通じては上昇となりました。

業種別では全業種が上昇しています。特にヘルスケア、資本財サービス、金融が大きく上昇し、電気通信サービスも市場平均を上回りました。一方、公益や一般消費財・サービス、エネルギー、情報技術などは上昇したものの市場平均を下回っています。

米国株式は比較的堅調が続いていますが、やはり米国の利上げの影響もあって新興国の株式が冴えず、新興国通貨も下落傾向が続いています。こうした中、「iTrust」の受益者に配信されるピクテの機関投資家向けレポート「Barometer」2018年8月号を見ると興味深い指摘がありました。新興国市場は底値買いの好機だとか。ドル高や貿易摩擦など新興国への悪材料はかなり市場に織り込まれつつある上に、実体経済は回復力を見せていることが要因です。ピクテの試算では、新興国株式は先進国株式を約20%下回る水準で推移しており、過去5年平均と比べて割安感が際立っているとか。

新興国債券に関しても。改善基調の中国経済や、数ヵ月前と比べて安定性を増した感があるメキシコやブラジルの政局などファンダメンタルズの改善から魅力が増している。やはりピクテのモデルによると新興国通貨は対ドルで最大で20%過小評価されているとし、一方で新興国の平均インフレ率は史上低水準にとどまっています。

こうした指摘は、なかなか興味深いものがあります。今年に入ってから新興国への投資に関する評判は極めて悪いのですが、冷静にバリュエーションを分析すれば、案外と“買い場”なのかもしれません。もっとも、ピクテがこうした分析を発表した直後に、いま世界を騒がしているトルコリラ・ショックが起こりましたから、もしかしたら状況判断に変化があるのかもしれません。そのあたりも含めて今後の見通しについてどのように考えているのか気になるところ。次回のレポートを楽しみにしたいと思います。

【ご参考】
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