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2018年5月2日
投資と労働運動の二正面作戦を戦う
5月1日はメーデーということで、今年も組合休暇を取得してデモ行進に参加してきました。メーデーのデモには、もう10年以上続けて参加しているのですが、世間がなんと言おうが、こういう活動は労働者にとって非常に大事。文字通りデモンストレーションを通じて存在感をアピールしないと、ますます資本による搾取がひどくなるのは目に見えているからです。私は庶民が格差社会に対抗する手段として株式投資の重要性をブログでも指摘してきましたが、同時に労働運動によって労働分配率を高めることも欠かせないと考えています。いま労働者にとって必要なのは、投資と労働運動の二正面作戦を戦うことなのです。
私は現在、ある地域産別労組協議会団体の代表幹事をしていることもあり、メーデーだけでなく労働組合運動にかなり熱心な方だと思います。最近は労働組合に対して、その存在意義を疑問視する声も一部ではあるのですが、はっきり言ってそういった意見は現状認識が甘い。「労働組合なんてなくてもいい」と言えるのは、その人がまだ恵まれた労働環境にいるからです。私のようにいつ倒産してもおかしくないような中小零細企業で働いていると、労働組合がなければ、それこそ恐ろしいことになります。
実際に私の職場でも過去に一部従業員に対する不当な退職勧奨問題などが起こりました。こうした問題に対して労働組合があったからこそ、被害を最小限に食い止めることができた。また、リーマン・ショックの時などは大幅な賃下げが行われたのですが、やはり労働組合を通じて交渉することで、引き下げ幅を抑えることもできたのです。そして現在、少しずつですが賃金は回復傾向にあります。景気が回復したから自動的に賃金が上がったのではありません。やはり春闘など労働組合を通じた交渉によって賃上げを実現しているのです。はっきり言いますが、よほどのことがない限り企業には従業員の賃金を無条件で引き上げるインセンティブなどありません。だからこそ、労働組合を通じた交渉が必要になるわけです。
近年、労働分配率の低下が世界的な問題となっています。こうした状況に労働者が対抗する方法のひとつとして、私は株式投資によって資本から剰余価値を取り戻すことを主張してきました。ただ、やはりそれだけでは不十分なのです。なぜなら、労働者が株式投資によって得ることのできる収益というのは、剰余価値の一部にすぎないからです。資本が獲得した剰余価値のうち、一部は既に拡大再生産のために再投資されているのですから。そのことを考えると、やはり労働運動によって労働分配率を高めていくという労働者にとって正攻法の活動の重要性はいまだ衰えないどころか、ますます大きくなってくる。これからの労働者は、投資と労働運動という二正面作戦を戦うことが必要になっているのだと思います。
そういうことを考えると、やはりメーデーのデモなども大切な活動なのです。なぜなら労働組合にとって組織力こそが力の源泉ですから。なので、デモンストレーションを通じて資本に対して労組が組織力を見せつけるというのは、無視できない意義があるということになります。そして何より、こうした行動を通じて労働者が自己の階級意識を自覚できるという効果も極めて大きい。なにごとも、ネットなどでグチグチ言っているだけでは始まらんのです。
私はよく「個人投資家」の立場と「労働者」の立場が矛盾しないのかということを聞かれたりもするのですが、自分の中では全く矛盾を感じていません。それどころか、投資を本格的に始めたからこそ、労働運動の重要性がかえって分かってきた。なぜなら、資本の論理というものがどういうものなのかがリアルに理解できるようになったからです。案外、これも労働者が株式投資する効能かもしれません。
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