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2018年3月30日
運用会社は地方在住の個人投資家も大切にしないといけない
先日、三菱UFJ国際投信がブロガーミーティングを実施しました。参加されたブロガーの皆さんがいろいろな報告記事をアップしているのでなかなか盛り上がった様子がうかがえます。じつは私のところにもお誘いの連絡があったのですが、さすがに平日の夜に東京まで出かけるわけもいかず(当方、大阪在住です)、今回は遠慮した次第。それで少し思ったことがあります。ブロガーミーティングぐらいならかまわないけれど、運用会社が本気で個人投資家と向き合おうと思っているなら、もっと地方在住の個人投資家を大切にすべきではということ。イベントも東京でだけ開いて、なにかやったような気になっていては困るということです。
なぜこんなことを思ったのかというと、三菱UJF国際投信は近々、投資信託の直販に参入するという情報があるからです。既にそれに向けて規約の変更にも動いています。
「eMAXIS Slim」約款変更のお知らせ(三菱UFJ国際投信)
直販というアイデアは非常に面白いのですが、現実はそれほど簡単ではないでしょう。なぜなら、個人投資家からすれば直販で投資信託を買うというのは、よほどのメリット(例えばコストが劇的に安くなるなど)がない限り、販売会社(証券、銀行)を通して買うのと比較してインセンティブがないからです。逆に口座管理が煩雑になるなどデメリットも多い。実際に大手運用会社による直販というのは過去にも例があり、現在でも三井住友アセットマネジメントが取り組んでいますが、それほど大きな成功はおさめていません。
一方、直販で成功しているのは独立系投信会社です。例えば、さわかみ投信、セゾン投信、ひふみ投信、コモンズ投信、鎌倉投信など。では、なぜ彼らは成功しているのか。それは、個人投資家とくに地方在住の個人投資家に対しても真摯に向き合っているからにほかなりません。例えば私は、さわかみ投信の澤上篤人会長、セゾン投信の中野晴啓社長、レオス・キャピタルワークス(ひふみ投信)の藤野英人社長、コモンズ投信の渋澤健会長のいずれとも直接お会いしたことがありますが、初めて会った場所はすべて東京ではありません。澤上さんとは大阪で、中野さん、藤野さん、渋澤さんとは奈良でお会いしました。
つまり、独立系投信会社のトップはそれだけ地方を頻繁に回っているということ。そうやって地方在住の受益者や個人投資家とも真摯に向き合うことで、強いリレーションシップを構築している。そうやってコスト以外の付加価値を受益者や個人投資家に提供してきた。これが直販という営業力の面では不利な条件ながら、預かり資産を拡大してきた秘密でしょう。
あるいは投信会社ではないけど、金融庁は現在「つみたてNISA」の普及を目的に国民との対話イベント「つみたてNISA Meetup(つみっぷ)」を順次開催していますが、これなどは大規模な地方巡回イベントになりました。しかも大都市圏だけでなく、それこそ中規模・小規模な地方都市までフォローしている。やはり国が本気になると凄い機動力だと感心しますが、それだけ本気で「つみたてNISA」を普及させようとしているということであり、そのためにはいかに地方の個人投資家と向き合うことが必要不可欠かということをよく理解しているのです。
これは投資に限らず、政治家から宗教家、はたまた演歌歌手や芸人まで同じですが、やはり自分の考えを広く国民に知らせるためには地方を回ることがとても大切なのです。それをドサ回りと言って避けていてはダメ。ドサ回りこそプロモーションの究極形です。東京でなにかやってメディアに取り上げられれば、それで何かやったつもりになっているようでは、きっとうまくいかないでしょう。
だから今後、大手運用会社も受益者や個人投資家と今以上に真摯に向き合おうと思うのなら、やはり地方でのイベントなどを充実させる必要がある。販売会社が主催するセールスを兼ねたセミナーではなく、もっと自分の声で運用会社としての基本哲学を地方の個人投資家にも語りかける機会が必要です。直販に参入するなら、なおさらでしょう。ぜひ大手運用会社にも、そういった挑戦をして欲しいと思います。
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