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2018年3月29日

金融庁の「はじめての投資!おススメの一冊」募集企画に推薦したのはこの3冊



以前にブログでも紹介したが、金融庁が募集している「はじめての投資!おススメの一冊」に応募しました。1人3冊まで応募できるのですが、なかなか選ぶのが難しい。マニアックな本を選んでも初心者には向かないだろうし、かといってあまりに簡単すぎるものも味気ない。いろいろ悩みながら、3冊を選んでみました。選択基準は、投資だけでなく「資産形成・資産運用」を総合的に学べる本、インデックス投資の実戦的な入門書、そして“ちょっと本格的に勉強したい”という人向けの基本文献です。

まず1冊目は「資産形成・資産運用」を総合的に学べる本として岡本和久さんの『公的・企業年金運用会社の元社長が教える波乱相場を〈黄金のシナリオ〉に変える資産運用法 かんたんすぎてすみません。』



この本の素晴らしい点は、年金運用のプロ中のプロである岡本さんが「そもそも資産形成・運用とは何か」という原理原則を踏まえた上で実戦的な投資の方法論や心構えまでじつに懇切丁寧に、それでいてより本質的な部分まで掘り下げて解説していることです。とくに株式や債券の仕組みや価格形成のメカニズムから説き起こして、「価値」と「価格」を峻別する大切さを指摘している。そうした原理原則を理解した上で、どのようにして資産形成に投資を組み込んでいくのかという考え方を丁寧に説いています。そこで語られているのは「人生を通じた資産運用」という王道中の王道ともいうべき考え方です。これ1冊の内容を完全に理解できれば、もうそれだけで初心者は卒業といっても過言ではありません。

2冊目はインデックス投資の実戦的な入門書として水瀬ケンイチさんの『お金は寝かせて増やしなさい』を選びました。



今年から始まった「つみたてNISA」は事実上、インデックス投資を推奨する制度であり、実際にインデックス投資は比較的誰でも実践しやすい優れた投資手法です。ところが、じつは日本で個人投資家が手軽にインデックス投資を実践できるようになったのは、たかだかこの20年ほどのことです。そんな中、15年以上にわたってインデックス投資を実践してきた水瀬さんの実践記は、それだけで貴重なケーススタディー。体験に裏打ちされた資本主義の原理に対する認識と、個人投資家の心理の機微まで考慮された実践方法についての解説は、それこそ評論家の書いた解説書とは一味違う迫力があります。まさに体で覚えた鍛えの入った1冊です。

最後の1冊は、より本格的に投資について勉強したい人なら、ぜひ読んでおくべきだと考える基本文献として、チャールズ・エリスの『敗者のゲーム』



バートン・マルキールの『ウォール街のランダム・ウォーカー―株式投資の不滅の真理』と並ぶインデックス投資に関する基本文献ですが、個人的にはこちらの方が好みなので選びました。マルキールの本は歴史研究的な要素も多いのに対して、エリスはどこまでも実際の運用業界の人間としての視点があり、それが研究と実践の微妙なバランスを保っているところに特徴があります。その視点から、テクノロジーが高度化した現代の株式市場が「敗者のゲーム(ミスをしないプレイヤーが勝つゲーム)」になっていると看破したところが偉大だった。なぜインデックス投資に代表されるパッシブ運用と長期・分散投資が現代の株式市場において有利なのかということを実践者の実感を含めて考究しているのです。そして「パッシブ運用」と「長期・分散投資」はいずれも個人投資家が優位性を発揮できる投資手法です。そういった投資手法が現代の株式市場において有利であるという主張は、ある意味で個人投資家にとっての福音とも思えるのでした(『チャールズ・エリスのインデックス投資入門』と合わせて読むと、さらに面白いでしょう)。

今回の「はじめての投資!おススメの一冊」募集企画の結果は、4月21日に東京で開かれる「つみフェス2018」で発表されます。他にも優れた本は沢山ありますから、他の応募者がいろいろな本を紹介してくれることでしょう(なお、応募締め切りは2018年3月30日までです)。結果発表が楽しみです。これから投資について勉強しようと思っている人にとっては、非常に参考になるのではないでしょうか。

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チャールズ・エリス『敗者のゲーム(原著第6版)』の翻訳が出ます
『チャールズ・エリスのインデックス投資入門』―余は如何にしてインデックス投資家となりし乎



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