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2017年7月8日
GPIFの2016年度の運用実績は7兆9363億円のプラスに―インデックス投資ナイトにもやってくる
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2016年度(16年4月~17年3月)の運用実績が発表されました。資産残高の収益額は7兆9363億円のプラスに、収益率は+5.86%でした。これにより資産総額は144兆9034億円となり、市場運用開始来で過去最高の資産額となっています。
平成28年度業務概況書(GPIF)
2015年度は期間収益がマイナスとなり一部メディアでも批判されたわけですが、16年度は一転して前年のマイナスを取り返し、さらに資産を上積みしています。しょせん相場は浮き沈みのあるものですから、減るときもあれば増えるときもある。これが「短期的な収益に一喜一憂するな」という意味です。
16年度はトランプ相場の追い風もあって堅調な運用成績となったわけですが、興味深かったのは収益に占める利子・金利収入(インカムゲイン)です。その額なんと2兆5334億円! 実に全収益の3分の1をインカムゲインで稼いでいることになります。現在、債券は国内外ともにに歴史的な低金利ですから、やはり国内外株式のウエートを高めたことが安定したインカムゲインの確保にも寄与しているということです。
さらに興味深かったのが資産クラスごとの収益率。国内株式が+14.89%、外国株式が+14.20%と収益を牽引した一方、国内債券は-0.85%でした。たまに「国民の大切な年金資金を株式に投じるな。全額を安全な国内債券で運用しろ」などと主張する人がいますが、国内債券もぜんぜん安全じゃないです。とくに現在は日銀による金融緩和で国債価格が歴史的な高水準にあり、長期金利はゼロ%近傍ですから、国内債券はかえって値下がりリスクが大きい怖い資産クラスなのです。
あと、運用を委託している金融機関に支払った管理運用委託手数料がわずか400億円というのにも驚きました。経費率にして年0.03%です。最近は個人投資家向けのインデックスファンドなども低コスト化が進みましたが、さすが世界最大級の機関投資家はパワーのレベルが違う。驚異的な低コストで運用を委託しているわけです。しかも業務概況書には主な海外公的年金との運用コスト比較が記載されていますが、これがスゴイ。世界的に見ても段違いに低コストでの運用ができていることが一目瞭然です。これはGPIFとして誇っていいことだと思います(ただし、海外の公的年金はオルタナティブ投資にも積極的でしたから、それでコストがかさんでいる面があります)。
とにかくいろいろと言われがちなGPIFですが、16年度も運用は極めて健全に行われたということが非常によく分かりました。業務概況書も非常に読みやすい。日本の公的年金運用についてなにか言いたいなら、中途半端な知識や憶測を基に能書きを垂れるのではなく、せめて業務概況書を熟読玩味して欲しいものです。
さて、今日7月8日は東京で「インデックス投資ナイト2017」が開催されます。なんと今回は特別ゲストとしてGPIFの森新一郎投資戦略部次長が登場し、個人投資家から直接質問を受け付けるというすごい企画があります。イベントに参加される方は、ぜひとも質問をして、そして意見を述べてみるべきでしょう。こんな機会、めったにないですから。私もイベントに参加するので、チャンスがあればいろいろと聞いてみたいと思います。
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