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2015年3月10日

個別株は永久保有だ



私は投資信託の積立を行いながら、個別株もときどきスポットで買います。でも、個別株は投資信託とは別の観点から保有しています。その違いは、投資信託は将来、現金が必要になれば躊躇なく売るけれども、個別株は基本的に売らないということ。バフェットではないですが、永久保有を原則にしています。なぜなら投資対象に対するコミットメントの度合いが全く異なるからです(これはあくまで個人的なポリシーの問題ですから、投資の一般原則からは外れた話であるということはご承知を)。

私は個別株の保有とは、単なる投資を超えた行為だと考えています。個別株を保有するということは、その企業を直接(部分的にとはいえ)保有するということです。そこが間接的に保有する投資信託とは大きく異なります。いわばオーナーとして、その企業と一体感を持つということ。企業に対して一体感が生まれると、よほどのことがない限り売れません。本当に惚れ込んだ企業なら、苦しい時も支えようという気になります。

以前、内藤忍さんが投資を恋愛に例えていましたが、それに倣うなら投資信託はあくまで恋人でしょうか。お互いの都合で別れることもありえると。でも個別株の保有は結婚のようなもの。長期保有すればするほど、良いことも悪いことも共有する歴史となって愛着が増すというものです。そうなればしめたもので、ちょっとぐらい含み損が出ても気になりません。だって、売らないのですから損のしようがありません。

よく個別株は企業分析が大変だという指摘があります。実際に大変です。結婚相手を見つけるのが大変なのと同じように大変です。でも、いったん“これだ”という会社を見つけてしまえば、それを買ってあとはとくに大変なこともありません。長期保有を決めたら、その企業の株価を毎日チェックしたり、関連ニュースが出るたびに右往左往する必要もありません。せいぜい四半期ごとの決算短信に目を通すことと、企業から送られてくる株主通信を読むぐらいで、あとは普通に日経新聞あたりを読んでいればいい。株価が毎日気になるのは、どこかで売り抜けてやろうと思っているからでしょう。これは重要なポイントですが、どこかで「売る」という行為を前提とすると、個別株を保有し、ほったらかしにするという投資方法の意味は分からないでしょう。

こうした観点から個別株を買っていますので、銘柄選びの基準が大切になります。まず、永久保有するためには永続可能性が高い優良企業であることが重要になります。その大事な要素は財務内容です。さらにしっかりと配当ができていること。配当さえきちんと出ていれば、多少株価が下がっても長期保有すればするほどトータルでのリスクが小さくなり、リターンも確実になっていきます。その点、日本株というのは意外と有望です。日本は世界でも名だたる長寿企業大国ですから。創業100年、200年という企業が珍しくありません。まちがっても新興企業株などは買わない(こういった分野こそ投資信託を利用すべきです。いつでも売れるから)。そしてもっとも大事なのは、その企業のDNAというか、風土というか、理念のようなものに共感できるかどうか。意外とこういった経済合理性を超えたものが企業の底力に関係すると個人的には思っています。

しかし、実際は株を売却することもあります。それは、その企業の理念や風土が変質し、とてもコミットメントできないと感じたときです。それはだいたい、深刻な経営不振として顕在化します。その企業が立ち直れると信じるならば、断固として保有を続ければいい。しかし、とてもついていけないと思えば仕方ありません。その株を売却して、縁切りします。離婚です。

現在、私は以下の企業の株を保有しています(カッコ内は証券コード)。

関西電力(9503)
NTTドコモ(9437)
住友商事(8053)
クラボウ(3106)
クラレ(3405)

いちおうセクターは電力、通信、卸売、繊維、化学と分散させています。NTTドコモは親方日の丸的な経営体質が問題ですがポテンシャルは素晴らしい。インフラを自前でがっちりと抑えていることも魅力。一皮剥けると爆発すると個人的に期待しています。私は関西人なので関西の商社に頑張って欲しいという意味で「泉屋」以来の伝統を誇る住友商事を買いました。住友グループの結束が固いのも安心です。クラボウとクラレは同根の会社ですが、事実上の創業者である大原孫三郎・總一郎親子の理念に共感して購入を決めました。両社とも財務内容は抜群ですし、クラレはPVAフィルムで圧倒的な競争力を持ちます。そして関西電力。原発停止以来、株価は暴落し、無配転落するなどはっきり言って投資不適格銘柄ですが、私は売りません。なぜなら、これは祖父から受け継いだ株だからです。この銘柄に関しては、たとえ倒産しようと一蓮托生と覚悟を決めています。

そのほかにも、そのうち買おうと思って目星をつけている銘柄がいくつかあります。いまはちょっと割高感があるので、相場がどこかで調整局面に入るのを楽しみに待っているわけです。こうして少しづつでも好きな銘柄を買い増していくと、配当も結構な額になってきますから、それも楽しみの一つでしょう。個別株は、やっぱり配当がいちばん楽しいですね。

ところで永久保有した場合、「じゃあ、お前が死んだあとはどうするのだ」という疑問がわくかもしれません。素直に相続させればいい。世界のお金持ちも一代で金持ちになった人は少ない。実は三代、四代かけて資産を形成しているのです。実際に私の保有株の一部も祖父から受け継いだものですから。つまり私は、投資信託などは「個人」の資産形成として、個別株は「家」の資産形成として投資しているわけです。それは筋金入りの長期投資家だった祖父から受け継いだ感覚です。

ただ、個人的には一つ問題があります。それは、私がまだ独身で子供もいないということ。いくら「家」の資産形成をしても、それを受け継がせる人が、まだいません。そいうわけですから、いまは実は投資よりも婚活に力が入っているというのが事実なのです。



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