年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2024年度第1四半期(4~6月)運用状況が発表されたので定例ウオッチです。2024年4~6月の期間収益率は+3.65%、帳簿上の運用損益はプラス8兆9732億円でした。市場運用開始来の収益率は年率+4.47%となり、運用資産額は254兆7027億円となっています。
2024年度第1四半期運用状況(速報)(GPIF)
堅調な相場を背景に4~6月も資産を大幅に増やし、運用資産額は過去最高を更新しています。ただ、問題は次の7~9月の結果でしょう。恐らくかなりのマイナスとなることが予想されるだけに、世の中がどのような反応を示すか注意が必要です。
2024年4~6月は、日銀による金融政策の正常化への見方が強まったことや、米国連邦準備制度理事会(FRB)の利下げに対する市場参加者の期待が後退したことなどで国内外の長期金利が上昇し、債券価格が低下しました。ただ、円安が進んだことで外国債券の円換算価格は上昇しています。一方、株式は半導体関連企業が好決算となるものの、欧州の政治的混乱を背景にまだら模様です。このためGPIFのポートフォリオも国内債券がマイナスとなったほかは、海外債券、国内株式、海外株式いずれもプラスとなり、全体としては好調な運用結果となっています。
ただ、問題は次の7~9月の運用結果でしょう。8月初の大暴落もあって株式市場も不安定な状態が続いています。ここにきて急激な円安が是正され、さらに日米金利差の縮小を背景に円高傾向が強まりました。このためGPIFの運用も7~9月は大きなマイナスとなることがほぼ確実です。これに対して世の中がどのような反応を示すのか。とくに、これまで多くのメディアは好調な運用結果に対してはそれほど大きく報道しないのに、大きなマイナスが出るとセンセーショナルに報道し、本来は超長期的視点で考えなければならない年金運用に対して誤った認識を広げることが往々にしてありました。
ぜひメディアには今後も適正で冷静な報道を心掛けてほしいと思います。
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