サテライトポートフォリオで少しだけ積立投資しているピクテ・ジャパンの低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の2023年9月次運用報告書の定例ウオッチです。「iTrust世界株式」の9月の騰落率は-2.89%、参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込み)の騰落率は-2.17%でした。残念ながら9月も参考指数に対してアンダーパフォームしています。それと迂闊な話ですが、7月11日から信託報酬が引き下げられていたことにいまごろ気づきました。運用成績は厳しい状況が続いていますが、コスト引き下げに努力するピクテ・ジャパンの姿勢は評価できます。
9月は米国金利の上昇や中国経済の成長鈍化などが弱材料となったほか、月後半には需要の先行き懸念から半導体関連銘柄が下落した影響もあり世界の株式市場は下落傾向となりました。業種別では、エネルギーを除くすべての業種が下落し、とくに不動産、情報技術、公益事業などの下落率が大きくなりました。一方、金融、コミュニケーション・サービス、ヘルスケアなどは比較的小幅な下落にとどまっています。このため「iTrust世界株式」も参考指数を下回る成績の終わっています。
運用成績は残念な状態が続いている「iTrust世界株式」ですが、受益者にとって有益な取り組みも実施されています。7月11日から信託報酬が従来の年0.979%(税抜0.89%)から0.913%(税抜0.83%)に引き下げられています。
「iTrust世界株式」信託報酬率の引下げについて(ピクテ・ジャパン)
コストはリターンを確実に蝕みますから、アクティブファンドにとってもコストの低さというのは大切な付加価値です。「iTrust世界株式」は低コストアクティブファンドをうたっているわけですからなおさら。そして、実際にコストを引き下げました。日本でアクティブファンドの信託報酬が引き下げられるケースは非常に珍しいだけに、今回のピクテ・ジャパンの決断は大いに評価できます。
さて、今後の市場見通しですが、「iTrust」シリーズの受益者に配信される機関投資家向けレポート「Barometer」10月号によると、米国経済は足元こそ堅調ながら潜在成長率を下回る公算が高く、既に低迷しているユーロ圏経済も当面は回復の見込みがないとしています。このため市場の警戒感が強まっています。
一方、期待されるのが日本株。日本経済は力強い回復を続けており、2024年は潜在成長率を上回るGDP成長が見込めるとか。今後数カ月にわたって個人消費の伸びが続き、賃金も上昇するとしています。このためピクテは日本株のオーバーウェート推奨を継続しています。こうした分析がどこまで当たるかは分かりませんが、やはり日本人としては期待したいところです。
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