凄いニュースが入ってきました。日興アセットマネジメントが信託報酬0.05%台の全世界株式インデックスファンドを新規設定するとのことです。
報道によると、日興AMが4月26日付で新規設定する全世界株式インデックスファンドは「Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)」は、信託報酬が年率0.05775%(税込み)、信託財産留保額がゼロだそうです。ベンチマークはファンド名にあるようにMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)です。販売は、まずSBI証券から始まるようです。
とにかく信託報酬の低さが驚異的です。現在、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスをベンチマークとするインデックスファンドとしては、アセットマネジメントOneの「たわらノーロード 全世界株式」と三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の0.1133%が最安値ですが、いきなりその半額の信託報酬を実現しています。米国ETF「Vanguard Total World Stock ETF」(VT)のエクスペンスレシオ0.07%さえも下回るわけで、いかに凄まじい低コストなのか分かるでしょう。
やはり記事にあるように、新NISAに向けた動きでしょう。そこで日興AMが勝負をかけてきました。インデックスファンドの現在の低コスト競争は、少しばかり最安値を更新したところですぐに「eMAXIS Slim」シリーズに追随され、その牙城を切り崩せないという展開が続いていました。そこで日興AMは、それこそ簡単には追随できないぐらいの圧倒的な低コスト化を図ることで、一気に個人投資家を取り込もうとしているのでしょう。
この戦略は、かなり正しいと思う。NISAは売買によって非課税投資枠を消費してしまうため、スイッチングができません。ですから、いったん購入された商品は保有され続ける公算が高い。しかも新NISAは非課税期間が無制限です。そうなると、先行者利益が圧倒的に大きいわけです。そこで、それこそ異次元の低コストファンドをぶち上げることで、新NISAを利用する個人投資家を一気に囲い込んでしまおうという戦略でしょう。
こうなると、今後の焦点は「たわらノーロード」や「eMAXIS Slim」の動きです。とくに「eMAXIS Slim」がこれまでのように追随値下げできるかどうか。なにしろ今回は、いきなり信託報酬を半減させる値下げが必要であり、実行すれば現在得ている信託報酬収益も半減します。はたして、そこまで踏み込めるか。しかし、もし追随値下げしなかった場合、今度は「つねに業界最低水準の運用コストを目指す」という「eMAXIS Slim」の商品コンセプトの根幹が揺らぎます。
こうしたことを考えると、今回の日興AMの動きはインデックスファンドの低コスト競争の新局面を開くきっかけになるかもしれません。そうしたことも注目しながら、正式発表を待ちたいと思います。
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