このほど、岸田首相が主宰する「新しい資本主義実現会議」の第13回会合が開催されました。
新しい資本主義実現会議(首相官邸)
新しい資本主義実現会議(第13回)(内閣官房)
「資産所得倍増プラン」については既に報道されていますが、一次資料が第13回「新しい資本主義実現会議」の「資料3」として内閣官房のホームページにアップされているの誰でも読むことができます。
プランでは5年間でNISA口座数と買付額を倍増させ、「中間層を中心とする層の安定的な資産形成を実現するため、長期的な目標としては資産運用収入そのものの倍増も見据えて政策対応を図る」ことを目的とします。そのための具体的な施策の方向性としてとして以下の内容が盛り込ました。
① 家計金融資産を貯蓄から投資にシフトさせる NISA の抜本的拡充や恒久化② 加入可能年齢の引上げなど iDeCo 制度の改革③ 消費者に対して中立的で信頼できるアドバイスの提供を促すための仕組みの創設④ 雇用者に対する資産形成の強化⑤ 安定的な資産形成の重要性を浸透させていくための金融経済教育の充実⑥ 世界に開かれた国際金融センターの実現⑦ 顧客本位の業務運営の確保
この方向性はおおむね妥当だと思います。ぜひ実現に向けて頑張って欲しいと思います。
同時に、こうした施策に対して一部で「金持ち優遇」「格差拡大を助長する」といった批判も出るでしょう。この点に関して政府は丁寧な説明をすることが欠かせないと思います。まず、「資産所得倍増プラン」は、安定的な資産形成によって中間層を維持・育成するための政策だということをはっきりさせるべき。その上で、投資に資金を回す余裕のない層に対しては別途、防貧政策・貧困対策を充実させることを明言するべきなのです。
そもそも、資産形成促進による中間層の育成政策と、防貧政策・貧困対策はトレードオフの関係にはありません。それどころか、中間層が拡大すれば結果的に税収も増加するはずですから、それによって防貧・貧困政策を実現するための原資も増えます。つまり、中間層育成と防貧政策・貧困対策は両立すべき政策だということです(実際に日本は、高度経済成長によって社会福祉も充実させることができました)。
いずれにしてもプランには有意義な論点がたくさんまとめられているので、ぜひ政策での具体化に期待したいと思います。
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