サテライトポートフォリオで少しだけ積立投資しているピクテ投信投資顧問の低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の2022年6月次運用報告書です。「iTrust世界株式」の6月の騰落率は-1.87%、参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込み)の騰落率は-2.38%でした。世界的なインフレ高進で各国中央銀行の利上げが相次ぎ、株式市場にとっては厳しい環境が続いていますが、6月はなんとか参考指数をアウトパフォームしています。さらに興味深いことに、ここにきてピクテは日本株の評価をオーバーウエート推奨へと引き上げました。
6月はインフレ懸念から欧州中央銀行(ECB)が量的金融緩和を終了し、0.25%の利上げに踏み切る方針を示したことや、5月の米国の消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回ったことで米国の利上げが加速するとの見方が広がるなど景気減速懸念が強まり、中旬にかけて大きく下落しました。その後、一時的な反発もあったのですが、6月の米消費者信頼感指数の悪化が嫌気され月間では大幅な下落となりました。
依然として厳しい市場環境が続いており、ピクテも先行きをかなりシビアに見ています。「iTrust」シリーズの受益者に配信される機関投資家向けレポート「Barometer」7月号によると、インフレ高進を抑えるために各国中央銀行が金融引き締めに動くことで、景気後退(リセッション)入りのリスクが一段と高まりました。このため株式のアンダーウエート推奨を継続しています。とくにユーロ圏はロシアに対する経済制裁の影響でエネルギー需給が逼迫していることが悪材料となり、アンダーウエート推奨となります。
一方、興味深いのは日本株に対する評価。ここにきてピクテは日本株をオーバーウエート推奨に引き上げました。景気回復の勢いが増していることに加えて、「相対的にインフレリスクが低く、消費マインドが安定的である点を評価」しているとか。日銀による金融緩和継続や「円が極めて割安な水準に留まっており、海外投資家にとって投資妙味が増している」ことも好材料となります。
最近、日本でも物価高が話題になりますが、日本のCPI上昇率は5月段階で2%台。食料品とエネルギーを除いたを除いたコアコアCPI上昇率にいたっては0.8%に過ぎません。この程度のインフレは海外なら通常レベルです。だから海外の投資家から見れば、日本はインフレリスクが低く、消費マインドも安定的と見えるわけです。こうした見方は、日本国内の状況だけを見ていては分からないでしょう。
ピクテの分析がどこまで妥当かは分かりませんが、やはり日本人としては本当に景気回復の勢いが増しているとの見方に期待したいと思います。
【ご参考】
ピクテ投信投資顧問の「iTrust」シリーズはネット証券を含む販売会社で購入できるほか、「iTrust世界株式」と「iTrust日本株式」は楽天証券やカブドットコム証券のiDeCo(個人型確定拠出年金)プランにもラインアップされています。⇒楽天証券確定拠出年金プラン 、auカブコム証券確定拠出年金プラン
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