サテライトポートフォリオで少しだけ積立投資しているピクテ投信投資顧問の低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の2022年3月次運用報告が出ました。「iTrust世界株式」の1月の騰落率は+8.65%、参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込み)の騰落率は+10.3%でした。前月に続いて参考指数をアンダーパフォームしてしましました。2022年に入ってから、なかなか調子が上がってきません。いろいろと想定外の状況が続いていると言うことでしょうか。例えば現在の円安に関してもピクテは「正当化が困難」な水準にあると指摘しています。
2022年3月の株式市場は、ロシアによるウクライナ侵攻や世界的なインフレ傾向への懸念から下落傾向で始まりました。しかし後半にはロシアとウクライナの停戦交渉進展への期待や、原油高が一服したことを好感して株式市場も買い戻しの動きから上昇して終わりました。業種別でもすべてのセクターが上昇しています。
とはいえ、ウクライナ問題の影響も含めてまだまだ不透明感の強い市場環境が続いています。「iTrust」シリーズの受益者に配信する機関投資家向けレポート「Barometer」4月号によると、世界経済の鈍化とインフレ高進への懸念はますます大きくなっており、将来の企業収益が下振れする可能性が大きくなっているとのこと。
とくに米国株はグロース株の比率が高く、バリュエーションも割高。金利や景気に左右されやすいセクターを中心に下げ圧力がかかります。このためピクテは米国株をアンダーウエートに引き下げることを推奨しています。ただし、株式全体をアンダーウエートにまで引き下げる必要はないとも。投資家心理は徐々に回復しており、ファンダメンタルズの悪化を相殺する可能性があるからです。
もうひとつピクテの分析で面白いと感じたのは、日本円に関する見方です。「円は米ドルに対して年初来で約6%下落しており、円の実質実効為替レートは史上最低水準に沈んでいます。また、購買力平価についても、理論値を20%程度下回り、過去のトレンドを2標準偏差下回っています」と指摘した上で「日本銀行の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)を一因とした長期国債における実質利回りの日米格差の拡大を勘案しても、円は正当化が困難なほど割安」だそうです。
このため円安傾向も底入れする可能性が出てきました。日銀の金融緩和が若干縮小される可能性も視野に入れているようです。ピクテは、日本円に対して強気の姿勢に転じており、投資判断もオーバーウエートに引き上げています。なかなか面白い判断だと感じました。
【ご参考】
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