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2021年11月13日

金融機関のルーティンを逆手に取る―ひふみ投信の2021年10月の運用成績

 

サテライトポートフォリオで積立投資している「ひふみ投信」の2021年10月次運用報告書が出ました。10月の騰落率は-1.02%、参考指数であるTOPIX(配当込み)の騰落率は-1.42%でした。純資産残高は10月29日段階で1570億円(前月は1567億円)、ひふみマザーファンドの純資産残高は7436億円(前月は7434億円)となりました。下落したものの参考指数をアウトパフォームしています。その要因の一つがなかなか面白い。どうも金融機関のルーティンを逆手に取ったようです。

10月の株式市場は、世界的なサプライチェーン混乱への懸念や米国の債務問題、中国の恒大集団のデフォルトなど海外の悪材料も多く、総じて軟調に推移してました。米国を中心としたインフレ懸念も相場の重しとなっています。そうした中、「ひふみ投信」は参考指数よりも下落幅を抑えることに成功しており、まずますの運用成績だったと言えそうです。

しかも、10月に「ひふみ投信」が参考指数をアウトパフォームした理由がなかなか興味深い。TOPIXの月次騰落率を見ると、四半期の初月は弱気相場になるとか。実際に1月+0.23%、4月-2.84%、7月-2.18%、10月-1.42%となっています。この周期的な現象に関して「ひふみ投信」の最高運用責任者である藤野英人さんは次のように分析しています。
主体別売買動向の最近の傾向として、金融機関からの売りが同時期に確認できています。株以外の資産価格変動があると、四半期の初月に「益出し」を行ない、他資産の変動を埋める動きになると解説されることがあります。
これは、なかなか興味深い観察でしょう。いかにも日本の金融機関らしいサラリーマン的ルーティンワーク。そこで「ひふみ投信」は「10月は割安株や景気敏感株のウエイトを増加させることで、参考指数であるTOPIX(配当込み)を上回ることができた」とか。いわば金融機関のルーティンを逆手に取ったわけです。サラリーマンが運用する大手金融機関系運用会社で難しい機動的な運用ができることが、独立系運用会社の強みといえるかもしれません。

11月に入ったことで、来年に向けた運用戦略を考える時期となりました。2021年は「ひふみ投信」にとってなかなか厳しい1年になっているので、今後の巻き返し策に期待したいところです。とくにインフレ傾向が強まっているので、相場の景色は大きく変わる可能性があります。そうした変化に対してそのように対応していくのか。受益者として注視していきたいと思います。

【ご参考】
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