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2021年10月7日

岸田首相の腕時計は「SEIKO Astron」―実用性重視の姿勢に好感を持ちました


このほど就任した岸田文雄首相ですが、ひょんなことから付けている腕時計「SEIKO Astron」が話題に。
なかなかカッコいい時計です。ところが、このツイートをリツイートした上で、価格が33万円もすることを批判している人がいるとか。なんともバカバカしい話です。時計好きからすれば、日本の首相の腕時計として、じつにセンスがいいではないですか。実用性重視の姿勢に、かえって好感を持ちました。

言わずもがなですが、「SEIKO」は日本を代表する時計ブランドであり、しかも「アストロン」は初代モデルが世界初のクォーツ式腕時計として1969年に発売され、世界を驚愕させたブランドです。電気・情報工学分野の国際標準化団体であるIEEEが電機・電子・情報技術分野の歴史的偉業を顕彰する「IEEEマイルストーン」にも認定されていて、2018年には国立科学博物館による重要科学技術史資料にも登録されました。

こうしたことを考えると、日本の首相が着用する腕時計として、これほどふさわしいものはありません。しかも岸田首相の場合、意図的に「SEIKO」「アストロン」を選んでいるようです。少し古いですが、次のような記事を見つけました。


2012年に外務大臣就任したときから「アストロン」シリーズを愛用するようになったそうです。現在の「アストロン」はGPS衛星からの電波をキャッチして位置情報を確認し、電波に含まれている標準時刻データから正確な現在地時刻を得られるのが特徴ですから、世界中を飛び回る外務大臣として実用性第一で選んだことがうかがわせます(記事にあるように当時の安倍首相も「アストロン」を愛用しているというのも面白い)。

ちなみに岸田首相は「アストロン」以外にも腕時計を持っていて、その中には「ROLEX」の「コスモグラフデイトナ」もあるようです。こちらは雲上時計とまではいかないものの、確かに高級腕時計といえるでしょう。
 
「ROLEX」の「コスモグラフデイトナ」を持っていても、外務大臣として仕事をするときには「SEIKO」の「アストロン」を使う。こういうTPOを考えた使い分けが素晴らしい。実用性を第一に考えているからです。しかも外務大臣、そしてこれからは首相として海外に行くときには、そこで日本を代表するブランドである「SEIKO」そして「アストロン」をアピールできるわけですから、日本の政治家の腕時計としてふさわしい。

それにしても、政治家の腕時計の値段をネタに批判する人というのは、じつにさもしい上に、考えようによっては危険ですらあります。なぜなら、そいう人は個人の消費という私的領域での活動と、政治という公的領域での活動を峻別できていないからです。この峻別ができない人は、いずれ「持っている人から奪えばいい」という発想をするようになる可能性が高い。権力者によって私的領域と公的領域が区別されずに国民が一方的に搾取されている専制国家ならまだしも、いやしくも民主主義で運営されている国家で暮らす市民の態度ではありません。

そういえば、スターリン時代のソ連や文化大革命時代の中国、ポルポト政権下のカンボジア、そして戦時中の日本などでは、ちょっと高価な日用品を使っているだけで「搾取階級の残党」「修正主義の走資派」「資本主義の垢にまみれている」「時局をわきまえない非国民」などとレッテルを張られ、粛清されたり抑圧されたりしたわけです。他人の持ち物の値段をあげつらうだけで何か言った気になるというのは、そういうことなのです。

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以下は余談。岸田首相の保有モデルは、たぶん全世界7000本限定モデルの「アストロンSBXB001」でしょう。限定モデルなので30万円超の価格となっていますが、SBXBシリーズは手ごろな価格のモデルもたくさん出ていて、Amazonなどではセール価格で普通に買えます。例えばこれなんかカッコいい。ちょっと欲しくなりました。


このあたりのモデルなら20万円前後なので若いサラリーマンでもちょっと奮発すれば普通に買えます。つまり、「SEIKOアストロン」とは、そういう実用時計なわけで、そんな普通の実用時計を付けているだけで批判されてしまった岸田首相は、やっぱり気の毒だったのでした。




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