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2021年10月20日

確定拠出年金1万2000人意識調査が興味深い―2021年10月の個人型確定拠出年金(iDeCo)積立と運用成績

 

SBI証券で運用している個人型確定拠出年金(iDeCo)の10月の買付(9月拠出分)が約定していました。最近の急激な円安で海外資産に投資するファンドが為替要因で大きく上昇しており、累積収益率は過去最高を更新しました。おそらく多くの加入者が同様に恩恵を享受していることでしょう。その確定拠出年金(DC)ですが、企業型も含めて今年10月1日で制度施行20周年を迎えました。それに合わせてフィデリティ・インスティチュートが大規模なDC意識調査を実施しています。なかなか興味深い結果が出ています。

SBI証券のiDeCoオリジナルプランで買付けたファンド・商品は以下の通りです(カッコ内は信託報酬)。いつも通りのポートフォリオとなっています。

【個人型確定拠出年金(SBI証券iDeCoオリジナルプラン)】
「三井住友・DCつみたてNISA・日本株式インデックスファンド」(0.16%)
「DCニッセイ外国株式インデックス」(0.189%)
「EXE-i新興国株式ファンド」(0.23%+投資対象ETF信託報酬0.1095%程度)
「EXE-iグローバル中小型株式ファンド」(0.23%+投資対象ETF信託報酬0.075%程度)
「野村外国債券インデックスファンド(確定拠出年金向け)」(0.14%)
「三菱UFJ DC新興国債券インデックスファンド」(0.34%)
「三井住友・DC外国リートインデックスファンド」(0.27%以内)
「あおぞらDC定期」

累積損益率は10月18日段階で+42.6%となり、過去最高を更新しました。ポートフォリオを見ても分かるように海外資産のウエートが高いため、最近の円安による為替要因の恩恵を大きく受けています。

さて、フィデリティのサイトにがDC制度施行20周年に合わせて対象者は約 1万2000人(うち DC 加入者は約3000人)に調査した「確定拠出年金1万2000人意識調査」の結果がアップされています。これがなかなか興味深い。

確定拠出年金1万2000人意識調査(フィデリティDCプラザ)

まず、4割の人が「運用はうまくいっている」と回答しており、「運用はうまくいっていない」と回答した人はわずか1割でした。しかも、投資信託で運用している人は、元本確保型商品で運用している人と比べて「運用がうまくいっている」と回答した割合が約2倍。この20年間はリーマン・ショックなどもありましたが、長期的に見れば株価も順調に上昇した時代でしたから、リスクを取ることが報われていると言えます。やはり20年というそこそこ長期になると、この傾向が一段と顕著になるということです。

一方、課題は依然として制度や仕組みについて「わからない/知らない」と回答する人が少なくないことです。企業型の場合、約4割の人が事業主掛金の額を知らず、5割の人が転職時の移換ルールを理解していません。結局、「ルールが複雑すぎる」ことが要因であり、DC制度の課題が浮き彫りになりました。

もう一つ気になったデータは、DCに加入していない人の44%がDC制度自体を「知らない」と回答していることです。まだまだDC制度の認知度向上が大きな課題であることが分かります。この点に関してフィデリティは次のように問題点を指摘しています。
資本主義は知ったもの勝ち、調べた者勝ちの世界ではあるが、このような状態を放置しておくことは必ずしも望ましくない。若いうちから DC の認知度を上げる施策が必要であろう。
これは非常に重要な指摘です。恐らく企業型DCではなく、自分でいろいろと調べて主体的にiDeCoに加入しているような人からすれば「資本主義は知ったもの勝ち、調べた者勝ちの世界」という言葉に、いろいろと思うところがあるのでは。

その他にも面白いデータがたくさんありあります。例えば「女性はDCを身近に感じていないが、メリットを理解すると行動も早い」などなど。企業型、個人型に関わらず既にDCに加入している人や、DCに関心のある人は、ぜひ目を通しておくことをお勧めします。

【ご参考】
iDeCoに加入する場合、金融機関によって手数料や商品ラインアップが異なることに注意が必要です。現在、iDeCoプランの選択肢としてお薦めなのは運営管理手数料が無条件無料で低コストインデックスファンドをそろえるSBI証券セレクトプラン、楽天証券、マネックス証券、松井証券、イオン銀行です。iDeCoへの加入を検討している人は、これら金融機関のプランを研究することをお勧めします。いずれもネットから無料で資料請求できます。⇒SBI証券確定拠出年金プラン楽天証券確定拠出年金プランマネックス証券確定拠出年金プラン松井証券確定拠出年金プランイオン銀行確定拠出年金プラン

iDeCoは公的年金を補完する制度ですから、これを活用する前提として日本の公的年金制度について勉強することを強くお勧めします。この点に関しては、権丈善一先生の『ちょっと気になる社会保障』が最良にして必読の入門書です。このほど、三訂版『ちょっと気になる社会保障 V3』が刊行されました。また、iDeCoも含めて現在の公的年金制度を徹底的に利用するための戦略書として田村正之さんの『人生100年時代の年金戦略』が非常に網羅的にまとめられていてお勧めです。家計管理から貯蓄・投資、公的年金やiDeCo・つみたてNISA活用までトータルに解説している竹川美奈子さんの『50歳から始める! 老後のお金の不安がなくなる本』も老後資金について“自分ごと”として考えるための方法論を丁寧かつ詳細に論じた優れた入門書です。



iDeCoは制度がやや複雑なので加入を検討する場合は解説書を読んで研究することもお勧めします。解説書としては大江英樹さんの『はじめての確定拠出年金投資』山崎元さんの『確定拠出年金の教科書』『シンプルにわかる確定拠出年金』竹川美奈子さんの『一番やさしい!  一番くわしい! 個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)活用入門』田村正之さんの『はじめての確定拠出年金』大江加代さんの『図解 知識ゼロからはじめるiDeCo(個人型確定拠出年金)の入門書』を挙げておきます。









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