モーニングスターに過去10年間の地域別株価パフォーマンスを分析した面白い記事が載っていました。
分析によると、過去10年間でもっともパフォーマンスが良かった地域は、やはり「北米」。とくに米国株の一人勝ち状態が続いています。こういうデータを見ると、最近の米国株投資ブームも理由のないことではないということが分かります。
意外だったのは、2番目にパフォーマンスが良かったのが「日本」だということ。この10年と言えば、ちょうど“アベノミクス”によって日本の株式市場の環境が大きく変わったと言えるのですが、その結果が具体的に示されています。同時に、やはりこの10年間ずっとささやかれ続けた「日本株オワコン論」は、見事に裏切られていたわけです。
一方、パフォーマンスがもっとも悪かったのは「中南米」。これは感慨深いものがあります。なぜか日本ではブラジルなど中南米への投資がやたらと人気があり、証券会社や銀行も盛んに“推してくる”のですが、私の周りでブラジル関連のファンドなどを買って儲けた人を見たことがない。それも当然だったわけです。
こういったデータを見ると、「では、いったいどの地域に投資すればいいのろうか」と考えてしまします。しかし、そういった考えを起こすこと自体が、そもそも間違いかもしれません。なぜなら、やはり記事で指摘するように、わずか10年間という短い期間ですら、なかなか将来のことは予想できないからです。
それ以上に重要なのは、少なくとも国際分散投資をやる以上、「その地域に投資すれば高いパフォーマンスが得られるのだろう」ということを考えること自体が本来の目的に反しているということです。そもそも国際分散投資の目的は何か。それは“リスクを下げること”にほかなりません。
やはり記事の中で「分散することは、10年で年率15%成長という「北米」への集中投資による成果を捨てて10年で年率8%をめざす投資を志向することになる。期待できる成果の水準は低くなるが、マイナスをつかんでしまうリスクも低くなるといえる」とありますが、これこそが国際分散投資の目的です。
もし、高いパフォーマンスを上げることが目的なら、そもそも分散投資するべきではありません。“地域”への投資ですら対象が広すぎる。それこそ特定の個別株への集中投資という手法が、“高いリターンを狙う”という目的においては理にかなっています。
投資には様々な方法がありますが、それぞれ異なる「目的」があります。「方法」と「目的」の関係を明確に分かっていないと迷いが生じる。国際分散投資をしているのに地域別パフォーマンスの差が気になるというのは、その“迷い”のひとうです。だからこそ、そもそも自分が採用している投資方法の「目的」は何かということを改めて意識するることが大切。そうすれば迷いも減ります。それが本当の意味で「納得も得心もして投資する」ということでしょう。
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