サテライトポートフォリオで少しだけ積立投資しているピクテ投信投資顧問の低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の2021年2月次運用報告が出たので定例ウオッチです。「iTrust世界株式」の2月の騰落率は+2.75%、参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込み)の騰落率は+3.76%でした。前月に続いて市場平均からアンダーパフォームしており、やや調子を落としています。一方、今後の市場動向に対してピクテは引き続き強気の姿勢を示しているのですが、やや気になる指摘も増えてきました。投資家の市場に対する楽観は、いずれ大きな問題になる可能性を指摘しています。
2月はバイデン政権による大規模経済対策への期待や企業業績の好転に加え、新型コロナウイルスのワクチン接種が進展していることなどから株式市場は上昇基調で推移しました。月後半に米国の長期金利上昇をきっかけとして下落もありましたが、月間ベースではプラス推移となっています。
ただ、今回の長期金利上昇による株価下落は、投資家に対して一つの示唆を与えてくれている言えそうです。「iTrust」シリーズの受益者に配信される機関投資家向けレポート「Barometer」2月号によると、引き続き株式、とくに日本株と新興国株のオーバーウェイトを推奨する一方で、次のようなやや気になる指摘がありました。
株式市場全般の長期見通しについては、不透明感が残っていると考えています。投資家は、正常な経済成長水準への回帰に加え、低金利環境が長期的に継続することを前提としていると考えています。一方、中央銀行は、将来のいずれかの時点でインフレ圧力の上昇に対応し、金融引き締めを始めなければならないと考えています。ピクテのモデルでは、グローバル株式のバリュエーションは割高な水準にあり、楽観的な見解が散見されるこのような状況は、市場にとって極めて大きな問題となる可能性があると考えます。
これは極めて重要な指摘でしょう。現在、世界各国の中央銀行は空前の規模で金融緩和を実施していますが、これはあくまで非常事態だということを忘れてはいけない。いずれ経済が正常化し、インフレ圧力が高まってくれば、金融引き締めに転じざるを得ないわけです。その際に、株式や債券市場がどうなるか。ひとつのパターンを2月の米国長期金利上昇による“ミニ・クラッシュ” が示しているというわけです。
その際、とくに注意すべきは米国株かもしれません。なぜなら、金利が上昇すれば債券と比較して割安感のない株式ほど売り込まれるからです。そして現在、米国株の割高感は際立っています。それが投資家の間で許容されるのは、金利が極めて低水準だからにすぎません。金利が上昇した際、はたして米国企業が株式のバリュエーションとのギャップを相殺できるだけの現実の収益を確保できているかがポイントになりそうです。
そう考えると、どうやら今後の注目材料は新型コロナ禍から金融政策の変更に移ってくると言えそうです。先行きを無邪気に楽観してポジションを高めるのは、将来の大きな問題の火種になる危険性がありそうです。やはり現在のような相場環境の時こそ、投資家はしっかりとシートベルトを締めることが必要だと感じました。
【ご参考】
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