米国の製薬大手、ファイザーが開発を進めている新型コロナワクチンに高い有効性を示すデータが公表されたことを受けて、日米欧で株価が急騰しました。
日米欧で株価大幅上昇、ファイザーのワクチンデータ受け(「日本経済新聞」電子版)
まだ実用化にはハードルがたくさんあるので市場も落ち着きを取り戻しましたが、それでも現在の“コロナ・ショック”に苦しむ世界にとって明るいニュースです。同時に、今回のニュースと株価急騰という現象を見て改めて感じたのは、「“コロナ・ショック”は唐突に終わるかもしれない」ということです。そうなると、いままで以上に“市場に居続けること”の重要性が高まったのではないでしょうか。
新型コロナウイルスのパンデミックが始まって以降、世界の経済活動は制限を余儀なくされ、それにともなう不況の色は日々強まっています。まさに実体経済における“コロナ・ショック”は現在進行形で続いていると言えるでしょう。株価こそ一時の暴落からは回復しましたが、現在の株価が正当化されるには、やはり実体経済の回復なしにはあり得ません。
ところが今回の“コロナ・ショック”は、従来の経済危機とは性格がかなり違うということにも気づきます。通常、経済危機は様々な要因が複合して発生します。このため危機からの本格的な回復は、いくつもある要因をひとつずつ解決しながら実現することになり、それなりの時間も必要となります。
しかし、“コロナ・ショック”による経済危機の要因は、文字通り新型コロナウイルスによるパンデミックと、それによる経済活動抑制しかありません。言い換えると、新型コロナウイルスに対するワクチンや致死率を劇的に下げる治療法が開発された瞬間、危機の原因はほとんど解消されてしまうわけです。そして、その瞬間は突然にやってくるのでは。その時に株式市場がどのように反応するのかは、今回のファイザーの発表とその後の株価の動きが示唆しているように感じます。
こうしたことを考えると現在の市場環境では、従来のように景気回復のタイミングを見計らって資金を投入するということが非常に難しい。少なくとも個人投資家レベルでは、ポジティブなニュースが発表されてか動いても、株価は既に急騰した後です。
この問題を解決し、“コロナ・ショック”が唐突に終わった際の株価急騰を確実に享受する方法は、やはり“市場に居続けること”しかなさそうです。まさにチャールズ・エリスが『敗者のゲーム』で指摘した「投資家は、『稲妻が輝く瞬間』に市場に居合わせなければならない」ということの重要性が一段と高まったと言えそうです。
“コロナ・ショック”が本当の意味で収束しない限り、株式市場も不安定な状態が続くでしょう。だからこそ今は、どんな形であれ投資を継続し、市場に居続けなければならないという思いを一段と強くしました。
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