まさに“コロナ・ショック”とでも呼ぶしかないクラッシュが来ました。世界中の株式市場が急落しています。個人投資家もファンドも非常に厳しい局面だと言えるでしょう。そうした中、サテライトポートフォリオで積立投資している「ひふみ投信」の2020年2月次運用報告書が出ました。2月の騰落率は-10.0%、参考指数であるTOPIX(配当込み)の騰落率は-10.3%でした。純資産残高は2月28日段階で1121億円(前月は1270億円)、ひふみマザーファンドの純資産残高は6121億円(前月は6865億円)となりました。大幅下落ですが、それでも参考指数をわずかにアウトパフォームしています。「ひふみ投信」は2月末段階で現金比率を過去最高の30%まで高めています。この極めてディフェンシブなポートフォリオで今回のコロナ・ショックを乗り越えることができるの注目です。
新型コロナウイルスへの危機感が深刻化したことで2月末に大幅下落となった株式相場ですが、こうした中で「ひふみ投信」は現金比率を30%まで高めるなど守りの布陣を敷いてイいます。「ひふみ投信」は最高50%まで現金比率を高めることができる設計ですが、従来は5~10%の間で運用してきました。そんな簡単に相場の先行きを予想することなどできない上に、キャッシュポジションの大小ではなく銘柄選択によって付加価値を生み出すのがファンドの本来の役割だからです。その「ひふみ投信」が過去最高となる30%までキャッシュポジションを高めたというのは容易ならざる事態です。この点に関して最高運用責任者の藤野英人さんは次のように説明しています。
今回の新型コロナウイルスは前例のない不確実な事象であり、一般的にマーケッ トはそのようなものの影響を消化するのは得意ではありません。感染の拡大が読め るだけに、米国の堅調なマーケットが少なくとも短期的に崩れる可能性は濃厚であ り、日本の株式市場も無傷ではいられないと予想し、現金比率を高める判断を行な いました。疫病の流行という極めて大きな“不確実性”を警戒したわけですが、この判断は正しかったことが3月に入ってすぐ判明します。3月に入ると産油国の生産調整交渉が暗礁に乗り上げたたことで原油が急落したことも加わって株式市場はパニック相場となりました。リーマン・ショック以来の下げ幅を記録しています。このため「ひふみ投信」も連日のように臨時レポートを出しています。やはり3月9日付の臨時レポートで藤野さんは次のように書いています。
現状の株式市場の下落は新型コロナウイルスの感染の世界的広がりによる不確実性の高まりと景気の悪化懸念が背景にあります。当面、市場の不確実性は収まりそうもありません。また、今回の混乱による生産・流通・消費の停滞によって世界経済は大きなダメージを受けたことも確実です。その悪影響がどれだけ長引くか。こうした中で過去最高の現金比率となっている「ひふみ投信」がどこまで持ち堪えることができるが注目です。
日本の景気は昨年の消費税増税や台風、暖冬の影響で落ち込みが広がりつつあったところに新型コロナウイルスの広がりが生じたことで、経済の回復の見通しがつかなくなってきました。中国での新型コロナウイルスの感染は峠を越えつつありますが、韓国・イラン・イタリア・ドイツ・フランスで感染が広がり始め、米国でも感染の勢いが強まりつつあります。
さらにサウジアラビアの原油の増産発表による原油価格の暴落、また日米金利差の縮小による円高などが投資家心理の悪化に拍車をかけて、日本株市場の大幅な下落につながりました。
同時に、大きなキャッシュポジションは急落で一時的に割安になった銘柄を買いに向かえるという強みにもなります。この点に関しても3月9日付の臨時レポートで次のように書いていました。
ただ一方で、それだけ巨額な現金があるので、これから下落をしていく会社に対して買いで向かうことができるのは大きな強みになります。本日のマーケットでも新型コロナウイルスの感染が広がってもびくともしない、むしろ恩恵を受けるような会社の株価でさえも大幅に下がっていたので、そのような会社に対して複数社、買い向かいました。すぐにはその成果が出ませんが、マーケットの状況が落ち着いてきたらお客様にその投資成果を還元できると期待しています。ぜひ、このピンチをチャンスに変えて欲しい。受益者の1人として「ひふみ投信」の今後の動きを見守りたいと思います。
これからマーケットが下落をしてきたら、わたしたちはすばらしい会社を驚くべき割安な価格で投資をすることができます。そういった意味ではこれからの下落市場はむしろ大きなチャンスになります。日本最大の日本株中心アクティブ投信が最大規模の現金を持っているというのはよいニュースであると思います。
さて、月次運用報告書に先立って発表された中間レポート恒例の組入れ銘柄紹介です。今回はミライト・ホールディングス(1417)。2010年に通信工事会社3社が合併してできた会社です。5Gの普及やIoT、遠隔医療や遠隔工事といったサービスの拡大で通信工事の需要はますます高まることが期待できるというのがメインストーリーでしょう。これは中間レポートには書かれていませんが、図らずも今回の新型コロナウイルス感染症の流行でテレワークなどの必要性が改めて認識されたことも通信工事の今後の需要に大きな影響を及ぼすのではと個人的に感じました。期待したいと思います。
【ご参考】
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また、ひふみ投信と同じマザーファンドに投資する確定拠出年金専用ファンド「ひふみ年金」がSBI証券、イオン銀行、松井証券、マネックス証券などの個人型確定拠出年金(iDeCo)プランでラインアップされています。SBI証券、イオン銀行、松井証券、マネックス証券のiDeCoはいずれも運営管理手数料が無料であり、低コストなインデックスファンドをそろえた商品ラインアップも良心的。iDeCoの選択肢として最有力です。こちらもネットから無料で簡単に資料請求できます。⇒SBI証券確定拠出年金プラン、イオン銀行確定拠出年金プラン、松井証券確定拠出年金プラン
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