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2019年9月18日
楽観論に同意しかねる―「iTrust世界株式」の2019年8月の運用成績
サテライトポートフォリオで少しだけ積立投資しているピクテ投信投資顧問の低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の2019年8月次運用報告が出たので定例ウオッチです。「iTrust世界株式」の8月の騰落率は-5.41%、参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込み)の騰落率は-4.95%でした。2019年に入ってから好調な運用が続いていた「iTrust世界株式」ですが、8月は久しぶりに大負けとなりました。やはり8月は市場環境が非常に厳しかったことをうかがわせます。9月に入ってからは株式市場も好転の兆しを見せていますが、ピクテは「楽観的な見方には同意しかねます」と厳しい見方を継続しています。
8月は米連邦準備制度理事会(FRB)が追加利下げに動くとの期待が後退したことや、トランプ米大統領による中国への追加関税措置発表などから米中貿易戦争激化の懸念が高まったことで世界的に株式市場は大きく下落しました。業種別では、公益や生活必需品が上昇し、ヘルスケアは市場平均よりも小幅な下落にとどまりましたが、エネルギーや素材、 金融などは市場平均よりも大きく下落しています。
9月に入ってからは一転して株式市場は反転傾向となっていますが、ピクテは先行きに対してかなり厳しい見方を継続しています。「iTrust」シリーズの受益者に配信している機関投資家向けレポート「Barometer」9月号では「ピクテの景気先行指数は、今後数ヵ月間の経済成長の鈍化を示唆しています。貿易摩擦を巡る不確実性が、特に先進国の鉱工業生産や企業心理に影響を及ぼしているからです」と指摘していました。
これに対して世界の投資家は各国の中央銀行による景気テコ入れ策として利下げなどを期待しているわけですが、やはりピクテは「足元の市場が織り込んでいるほどの積極的な金融政策が実施される公算は極めて小さい」として、まさに投資家の「期待は砕かれた」と断じています。このため株式のアンダーウエイトを推奨するのですが、債券の選好に対しても否定的。世界的な債券高騰でグローバル債券指数(JP モルガン世界国債指数)の構成銘柄のほぼ3分の1がマイナス利回りを付けているからです。結局、キャッシュのフルオーバーウェイト(ベンチマークより高い投資比率)を推奨するという極めて保守的な運用姿勢を提案しています。
こうした中、ピクテは株式でもっとも投資妙味が薄いのが米国株だとの見方を継続しました。S&P500は過去最高値近辺で推移する一方、米国企業の利益予想は下方修正されています。このため現在の株価水準は極めて割高感が高いことになります。逆に期待できるのは欧州株と日本株。ユーロ圏の景気先行指数は、フランス、イタリアのモメンタム改善で上昇基調を維持しています。日本株は、円高にも係わらず底堅さを示し、バリュエーション面でも割安感が際立つ。このためピクテは日本株の上値余地が20%に達すると試算しました。
不思議なもので、株価が大きく下落しているときはあれほど不安だったのに、少し反転すると急に強気になってしまうのが投資家の悲しい性。そんな時こそ、楽観論を戒める論調に触れておくことは有意義なことに感じます。
【ご参考】
ピクテ投信投資顧問の「iTrust」シリーズはネット証券を含む販売会社で購入できるほか、「iTrust世界株式」と「iTrust日本株式」は楽天証券やカブドットコム証券のiDeCo(個人型確定拠出年金)プランにもラインアップされています。⇒楽天証券確定拠出年金プラン、カブドットコム証券確定拠出年金プラン
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