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2019年3月12日

バンガードETF経費率引き下げで「楽天・バンガード・ファンド」シリーズもコストダウン



このほどバンガード社がETFと米国籍投資信託の経費率を改定する発表しました。

2019年バンガードETFおよび米国籍投資信託の経費率改定のお知らせ(バンガード・インベストメンツ・ジャパン)

バンガードのETFや米国籍投資信託は基本的に決算のたびに経費率が見直されています。純資産残高が増加して運用効率が高まれば、そのコストダウンの成果を淡々と受益者に還元していく姿勢は相変わらず見事です。こういった既存の受益者の利益を第一に考えているとことが、同社の商品が多くの支持を集める理由でしょう。そして、今回の経費率改定によって、バンガードのETFに投資する「楽天・バンガード・ファンド」シリーズも実質負担する運用管理費用が低下します。

以前にもブログで少し書きましたが、米国の大手運用会社によるインデックスファンドの低コスト競争というのは、(実態がどうかは別として)妙に競合ファンドを意識したりするマーケティング的値下げではなく、純資産残高増加による運用効率向上の成果を既存の受益者に還元するという姿勢が明瞭なのが清々しい。特にバンガードのファンドはその傾向が強いです。

なぜそれが分かるのかというと、例えば今回の経費率改定では「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF」(VT)や「バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF」(VWO)などほとんどのファンドで経費率が引き下げられる一方、「バンガード・ウェルズリー・インカムファンド」(VWIVX)は経費率が引き上げられています。つまり、純資産残高が減少して運用効率が低下すれば、やはりその負担を受益者に求めているわけです。言い換えると、バンガードのファンドの経費率というのは決してお手盛りの数字ではないということです。こういった点はさすがとしか言えません。こうした誠実さこそが、バンガードが受益者の信頼を集める要因でしょう。

さて、バンガードETFの経費率が引き下げられたことで、バンガードのETFに投資する「楽天・バンガード・ファンド」シリーズも実質負担する運用管理費用が低下します。

「楽天・バンガード・ファンド」シリーズ実質的にご負担いただく運用管理費用の引き下げについて(楽天投信投資顧問)

このように投資対象であるETFの経費率が低下することで自動的にコストダウンの恩恵を受けることができるのがファンド・オブ・ETFs(FoETFs)の利点です。最近では海外ETFを直接買い付けるためのインフラもかなり整備され、以前に比べるとハードルはだいぶ下がりました。しかし、やはり外貨調達や売買時のコスト、その後の管理と税務処理などを考えると海外ETFを直接買い付けるというのは投資中級者以上向けです。ですから、投資初心者や、あまり細かなことまで考えたくない人にとっては「楽天・バンガード・ファンド」は有力な選択肢となるでしょう。

ちなみに「楽天・バンガード・ファンド」シリーズは、ベンチマークに対する乖離がやや目立つことから運用精度を気にする人もいます。「楽天・バンガード・ファンド」に限らず、FoETFsのファンドは総じてベンチマークとの連動が甘い。これは恐らく為替予約、ETF買付、指数算出などのタイミングが微妙にずれているからではないか。つまり、FoETFsという仕組みによって生じるテクニカルな要因があるのではないでしょうか。このあたりの事情を運用会社の方で誠実に説明してもらえれば、私は運用精度に関してあまり気にしなくてもいいと思っています。そういったテクニカルなデメリットを補うだけのメリットがFoETFsという仕組みにはあると感じているからです。



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