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2019年3月20日

高齢者を食い物にする金融機関―いずれ厳しい規制で奈落の底に突き落とされるかも



日本では金融機関による高齢者への不適切な金融商品営業がたびたび問題になるのですが、今回は郵便局で大スキャンダルです。

郵便局員が違法な保険営業 高齢者と強引契約 15年度以降68件(西日本新聞)
「振り込め詐欺と変わらない」郵便局員、違法営業の実態 背景に過重なノルマも(同)

証券会社や銀行だけでなく郵便局までこのありさまですからひどいものです。こんなことが頻発するから、日本の金融機関は高齢者を食い物にしているといわれるわけです。しかし、あまりに無茶苦茶を続けていると、いずれ金融機関も大変なことになるのではないか。それこそ当局が厳しい規制を課し、業界が奈落の底に突き落とされる可能性があると思います。

今回、問題になっているのは郵便局による違法な保険販売です。いまや保険商品は金融機関にとって手数料の旨味が大きい商品として無視できない存在ですが、その例にもれず郵便局でも強引な営業がまかり通ていたことになります。記事にある「認知症の父は契約内容を理解できていないのに契約を結ばされた」「90歳の父の月額保険料が50万円近くになっている」という苦情内容は、その実態の異常さをよく表しています。

結局のところ、日本の金融機関は「適合性原則」に対する認識が甘い。だから違法でなくても、それこそ形式的に法律さえ守っていれば何をしてもいいという状態になっているのです。そして、日本における金融商品の営業というのは、ひたすら個人を食い物にする一種の焼き畑農業になっているとさえ言えそうです。

しかし、こういった状況は金融機関にとっても良くないことだと思う。なぜなら、焼き畑農業にはサスティナビリティがないからです。こうしたことを繰り返せば、いずれ自らの市場をも崩壊させてしまうでしょう。目先の利益に拘泥したばっかりに、将来の利益の源泉を失うのです。

さらに恐ろしいのは、こうした金融機関の悪行に対して、当局が動かざるを得なくなることです。金融機関による高齢者への強引な金融商品営業に対して、当局もたびたび問題視してきました。しかし、いっこうに改善がなされない。そうなると、当局としては厳しい規制を課すしかなくなります。例えば、それこそ高齢者への金融商品営業において「不招請勧誘の禁止」が課される可能性すら出てくるのではないでしょうか。

かつて商品先物取引業者が個人に対して強引な営業を繰り返し、社会問題になったことがありました。当局も業界に対して再三にわたって改善を指導していましたが、いっこうに改善されない。ついに当局は「業界に自浄能力なし」と判断し、一気に規制を強化しました。個人への不招請勧誘が禁止されたのです。これは事実上、不特定多数の個人に対する営業活動の禁止です。その結果、商品先物取引業界で個人向けビジネスは奈落の底に突き落とされました。

今後、金融機関が高齢者に対する強引な金融商品営業を続けるようでは、それこそ商品先物取引業者と同じ道をたどらない保証はありません。そうならないためには、やはり根本的なビジネスモデルの転換が必要なのでしょう。その現実を日本の金融機関は直視する必要があるのです。



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