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2019年1月22日
資産の隠れ場所が消滅した2018年―「iTrust世界株式」の2018年12月の運用成績
サテライトポートフォリオで少しだけ積立投資しているピクテ投信投資顧問の低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の2018年12月次運用報告が出たので定例ウオッチです。「iTrust世界株式」の12月の騰落率は-9.76%、参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込み)の騰落率は-10.37%でした。非常に厳しい相場環境の中、なんとか参考指数をアウトパフォームしています。2018年は世界の投資家にって苦しい年でしたが、12月はそれを象徴するような数字で終わったことになります。
2018年12月は11月の反発から一転して大幅な下落となりました。ファーウェイの幹部逮捕で米中貿易戦争の激化が懸念されたことに加え、米国や中国などから予想を下回る経済指標が発表されたことで世界的な景気先行きや企業業績への懸念が高まったことが要因です。米国の利上げも依然として株式相場には逆風となっています。
業種別では、全ての業種が下落するなかで、金融、エネルギー、資本財・サービスの下落率が大きかった。一方、公益セクターは、長期金利低下やディフェンシブ性が注目されたことなどで相対的に小幅な下落にとどまっています。
さて、「iTrust」の受益者に配信されるピクテの機関投資家向けレポート「Barometer」の2019年1月号は「2018年が残した5つの教訓」と題する特別号でした。これが非常に興味深かった。2018年は世界の投資家にとって厳しい市場環境だったわけですが、それこそ運用における安全な“隠れ場所”が消滅してしまった年だと指摘しています。
ピクテによると2018年の資産別パフォーマンス(米ドルベース)は「米ドル現金」だけがプラスリターンとなり、そのほかの「世界債券」「米国投資適格債」「米国ハイイールド債」「ユーロ国債」「新興国債券(米ドル建て)」「外貨現金」「ユーロ投資適格債」「ヘッジファンド」「ユーロ・ハイイールド債」「世界株式」「商品」のいずれもがマイナスリターンとなりました。このような状況は1986年以降で初めてのことだそうです。
その意味で分散投資にとっても2018年は非常に厳しい年だったことがわかります。やはり分散投資といえども万能ではありません。私も常々、リスク資産と同時に無リスク資産も保有することの大切さを強調してきましたが、ここ数年は好調な相場が続いたことで日本でも無リスク資産をある程度のウエイトで保有することを軽視するような風潮が一部でありました。そういったリスク過剰な投資は例外なく大きな打撃を受けたはずです。あらためて現金など無リスク資産の重要性が確認できた年だったと思います。
「Barometer」2019年1月号では「隠れ場所の消滅」のほかに「中央銀行による金利刺激の重要性」「地政学の重要性」「ドル高は、常時、新興国の逆風」「欧州経済失速の可能性は侮れず」という教訓が解説されていました。こうした教訓を踏まえ、今後どのような姿勢で投資していくのかを考える良い機会になりました。
【ご参考】
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