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2018年9月13日

新興国市場に買いシグナル点灯か―「iTrust世界株式」の2018年8月の運用成績



サテライトポートフォリオで少しだけ購入しているピクテ投信投資顧問の低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の2018年8月次運用報告が出たので定例ウオッチです。「iTrust世界株式」の8月の騰落率は+1.59%、参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込み)の騰落率は+1.79%でした。7月は参考指数を大きくアウトパフォームしたのですが、8月は若干のアンダーパフォームに終わりました。トルコリラ・ショック以降、新興国市場に対する懸念も続いています。ただ、ピクテはあいかわらず新興国推し。買いシグナルが点灯していると強調しています。

8月の株式相場は上旬にかけては良好な企業決算を受けて堅調に推移しましたが、その後はトルコリラの急落などもあってリスク回避モードが加速したことから下落しました。しかし、後半に入ると米中貿易摩擦問題に関する交渉進展への期待や北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉で米国とメキシコが合意に至ったことなどが追い風となり、株式相場も上昇に転じています。

業種別では、情報技術とヘルスケアが大きく上昇し、一般消費財・サービスも平均を上回る上昇でした。また、資本財・ サービスと公益も堅調でした。一方、貿易摩擦による需要低下懸念のあるエネルギーと素材は下落率が大きくなりました。

米国株式の堅調と対照的に、あいかわらず新興国の株式や通貨は下落傾向が続くなど不安定な状態が続いています。この点に関して「iTrust」の受益者に配信されるピクテの機関投資家向けレポート「Barometer」2018年9月号を見ると非常に興味深いです。ピクテは新興国市場に買いシグナルが点灯していると強調しています。

新興国が買いとなる理由のひとつが、ここにきて新興国市場からの資金流出が底入れの気配を見せていることがあります。また、中国などが流動性の供給に転じつつあり、これが米国との貿易摩擦によるマイナス影響を相殺する可能性があるとか。バリュエーションでも新興国株式のPERは過去平均より10%以上の割安水準にあるとのことです。

一方、米国株はバリュエーションでも依然として割高水準にある。特にに注目すべきは、2019年の利益予想のコンセンサスに10%前後の利益の伸びが織り込まれていることです。これは米国の名目GDPの6%以上の成長を前提とした予想だそうで、今回の景気拡大局面が史上最長記録を更新しつつあることを勘案すると、実現の公算は極めて低いというのがピクテの見立てです。

このためピクテは引き続き米国株式をアンダーウエイト、新興国株式はオーバーウエイトを推奨しています(ちなみに、日本株はオーバーウエイトを推奨しています)。このあたりの見立ては日本の個人投資家とはかなり様子が異なるのが面白い。私の場合、以前からずっと新興国オーバーウエイト派なので、ピクテの分析には心強く感じました。 はてさて、どうなることか。楽しみに推移を見守りたいと思います。

【ご参考】
ピクテ投信投資顧問の「iTrust」シリーズはネット証券を含む販売会社で購入できるほか、「iTrust世界株式」と「iTrust日本株式」は楽天証券のiDeCo(個人型確定拠出年金)プランにもラインアップされています。⇒楽天証券確定拠出年金プラン



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