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2018年4月16日

アクティブファンドも低コスト化すれば市場平均と戦える



一般的にアクティブファンドの多くはインデックスなど市場平均にリターンで勝てないと言われています。これは過去のデータから経験則的に理解できることなのですが、一方でアクティブファンドが市場平均に勝つ方法を示唆する面白い記事がモーニングスターに載っていました。

アクティブ運用10年で明暗―国内大型株、超低コストなら“勝率9割”(モーニングスター)

これは非常に興味深い指摘です。ここから分かるのは、アクティブファンドも低コスト化すれば、まだだだ市場平均と戦えるかもしれないということです。

モーニングスターの分析によると、国内株式アクティブファンドをコスト(信託報酬)水準別に5分類して過去1年間、3年間、5年間、10年間の各期間でトータルリターンがTOPIX(配当込)を上回ったファンドの比率を「勝率」として見たところ、過去10年間ではフィーレベル「安い」の勝率が77%(35本中27本がTOPIX(配当込)を上回る)に達したそうです。

また、さらにコスト水準の区分のうち低コスト上位5%の“超低コスト”ファンドを調べると12本中11本がTOPIX(配当込)を上回り、勝率は92%となっています。逆に高コスト上位5%に区分されるファンドでTOPIX(配当込)を上回ったのは12本中2本だけで、勝率は17%と大きく落ち込みました。

やはりアクティブファンドが市場平均に勝つためには低コストであることが極めて重要ということです。もちろん、記事には言及されていないけれども見過ごしてはいけないポイントもあります。それは「生存者バイアス」の問題。通常、運用成績の悪いファンドは資金が集まらず繰上償還されたりして消えていきます。結果、10年以上運用が続いてるアクティブファンドは、運用成績が良くて生き残ることができたファンドばかりということになり、自然と市場平均に対する「勝率」は高くなるという問題です。

ただ、そういった生存者バイアスを考慮しても、やはり勝率7~9割というのは見過ごせない。やはりコストの低さと市場平均に対する勝率には何らかの因果関係があると見た方がよさそうです。コストが低ければ必ず市場平均に勝てるわけではないけれど、コストが低くないと市場平均に勝つのは大変ということ。つまり、低コストというのはアクティブファンドが市場平均に勝つための十分条件ではないけれども、必要条件ではあると考えることができそうです。

結局、アクティブファンドが市場平均になかなか勝てない理由の1つは、自らの高いコストにリターンを削られて、自滅していたケースが多いのでは。つまり、例えば効率的市場仮説などといった難しい理論以前の、実に単純な問題である可能性があるのです。

私はインデックス投資家であると同時に、個別株を買ったりユニークなアクティブファンドも購入するなど両刀使いの投資を実践しています。アクティブ運用とパッシブ(インデックス)運用はコインの裏表ですから、アクティブ運用が盛り上がらないとパッシブ運用も成り立たない。なので、良質なアクティブファンドには頑張って欲しいと思う。だから今回の記事を読んで改めて感じたのは、やはり良質なアクティブ運用のためにも、低コストであることの重要性です。

良質なアクティブファンドを探すのは非常に難しいことですが、コスト(信託報酬)の低さというのはファンド選択の際に極めて重要なファクターとなる。また、運用会社も優れたアクティブファンドを組成しようとするなら、低コストにこだわったファンドを作るべきでしょう。それができれば、アクティブファンドもまだ十分に市場平均と戦えると思うのです。

(ちなみに、私はいくつかアクティブファンドを保有していますが、いずれも信託報酬は税抜1%未満。個人的には、このあたりがアクティブファンドの購入を検討する際のコストの上限だと考えています。)



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