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2017年12月17日

日本株には、まだ上昇余地ありか―「iTrust世界株式」の2017年11月の運用成績



サテライトポートフォリオで少額ながら積み立て投資しているピクテ投信投資顧問の低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の2017年11月次運用報告が出ていたので定例ウオッチです。「iTrust世界株式」の11月の騰落率は+1.15%、参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込み)の騰落率は+0.72%でした。前月に続き参考指数をアウトパフォームしました。また、iTrust受益者専用サイトからピクテの機関投資家向けレポートが配信されていますが、あいかわらず日本株に対して強気の姿勢であり、まだ上昇余地があると見ているようです。

11月の株式市場は、月初に米ISM製造業景況指数など経済指標が良かったことや、堅調な企業決算を受けて上昇しました。しかし、月半ばにかけては、対米ドルでの円、ユーロの上昇が日本株と欧州株の下落に繋がったことや、米国の税制改革への不透明感が高まったことから下落。月後半以降になって米上院での税制改革法案可決への期待や米国で感謝祭明けに始まった年末商戦が好調なスタートとなったことなどから再び上昇し、月間では上昇となりました。

セクター別では、生活必需品や一般消費財・サービスなどが市場平均を上回って上昇。公益も上昇しましたが、市場平均は下回りました。エネルギーセクターはほぼ横ばい、素材セクターは小幅に下落しました。「iTrust世界株式」の組み入れ銘柄を見ると、生活必需品セクターのウエートが高いことが参考指数をアウトパフォームした要因の一つのようです。また、組入れ上位銘柄10位を見ると、新たにDBSグループ・ホールディングス、 ウォルト・ディズニー、プルーデンシャル、ペプシコが挙がっており、金融、エンターテイメント、食品といった業種に注目していることがうかがえます。

あいかわらず興味深いのが受益者に配信された機関投資家向けレポート「Barometer」2017年12月号。ピクテは「順風満帆な株式市場」として引き続き株式をオーバーウエートとする一方、債券は割高な水準になるとしてアンダーウエートを推奨しています。そして株式の中でも最も投資妙味があるのはユーロ圏と日本。特に日本株については次のように指摘しています。
日本株式は景気敏感セクターの構成比率が高いものの、世界株式との比較では相対的に割安に評価されており、PBRは2倍以下と適正な水準にあります。さらに、日本は、年初来の株式市場のリターンが2018年の予想増益率を下回っている唯一の国であることも特筆に価します。上値余地は大きいと見ており、引き続きフルオーバーウェイトとします。
実際のピクテの分析が正しいかどうかは別にして、このようにファンダメンタルズやバリュエーションから冷静に株式価値を分析する見方は、株価だけを見て割高感を感じるような素人臭い感性からほど遠く、なかなか清々しいものがあります。少なくとも海外の投資家は日本株に対して、まだ上昇余地があると見ていることは頭の片隅に入れておくべきでしょう。

それにしても今月号の「Barometer」は、なかなか面白かった。セクター別の分析でも「一部のセクターではバリュエーションがファンダメンタルズで説明できる範囲を超えて上昇してしまっています」といった鋭い指摘があり、「歴史的な水準に達している景況感、インフレ率の上昇基調、主要国中央銀行の量的金融緩和政策が縮小に向かっていることなどを考慮すると、割高な水準で取引されている景気敏感セクターのエクスポージャーを削減すべきタイミングが到来したと見るべきでしょう」という指摘は、特に米国株投資をしている人には、かなり示唆に富む内容でないかと思うのですが。

【ご参考】
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