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2017年11月29日

超低コストインデックスファンド「i-SMT」が登場―低コストは魅力だが戦略は周回遅れでは



三井住友トラスト・アセットマネジメントからこのほど超低コストインデックスファンドシリーズ「i-SMTインデックスシリーズ」が登場しました。まずは日経225と先進国株式(MSCIコクサイ・インデックス)に投資する2ファンドがローンチされています。

i-SMT日経225インデックス(ノーロード)(信託報酬:税抜0.17%)
i-SMTグローバル株式インデックス(ノーロード)(信託報酬:税抜0.19%)

低コストインデックスファンドシリーズとして実績のある「SMT」シリーズから派生する形で超低コストファンドを新規設定するのは三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim」と同じ方式です。新たに設定された「i-SMT」シリーズは、いずれも業界最安値をうかがう信託報酬水準となっているのが魅力。ただ、ここにきての商品投入というのは、低コスト競争を戦う上で周回遅れの感が無きにしも非ずといった印象です。

「SMT(旧STAM)」シリーズと言えば低コストインデックスファンドシリーズの代表格として高い人気を誇ってきました。ところがここ数年のインデックスファンド低コスト競争に対して対抗策を取ることもなく過ごしてきたことで、最近ではすっかり旧世代ファンド扱いされてしまっています。そんな中、低コスト競争ですっかり後れを取っていた三井住友トラストAMが、ようやく重い腰を上げたということです。

その「i-SMT」ですが、商品自体は極めて魅力的なものになっています。信託報酬も極めて低廉。実質コストが分かるまでははっきりとは言えませんが、競合する超低コストインデックスファンドシリーズと十分に対抗できる競争力があると言えそうです。ただ、既に「SMT」シリーズを保有している受益者の1人としては、少し複雑な感情も持ってしまいます。これは「eMAXIS Slim」が登場したときにも感じたことですが、既存ファンドの信託報酬を引き下げずに別のファンドを新規設定することで低コスト競争を戦うという戦略がセコイ。既存ファンドの受益者の存在を軽視しているような印象を持ってしまうのです。

その上、このタイミングでの登場というのも微妙なところ。なにしろ現在の低コスト競争の主役は「<購入・換金手数料なし>」「たわらノーロード」「iFree」「三井住友・DCつみたてNISA」といった既存ファンドの信託報酬を断続的に引き下げた実績を持つインデックスファンドシリーズたち。そして、それに対抗する形で既に「eMAXIS Slim」が存在し、しかも「eMAXIS Slim」ですら連続して信託報酬を引き下げる実績を見せつけました。

こうした中で「i-SMT」の登場というのは、既に周回遅れの感が。先行する競合ファンドの間に割って入るのは、並大抵のことではないと思う。インデックス投資家からすれば、あえて「i-SMT」を選ぶインセンティブが感じられない。それよりも実績のある「<購入・換金手数料なし>」「たわらノーロード」「iFree」「三井住友・DCつみたてNISA」、あるいは「eMAXIS Slim」を選ぶ方が安心と感じるのが自然でしょう。

そう考えると、三井住友トラストAMが「i-SMT」で巻き返しを狙うためには、相当に大胆な取り組みや仕掛けが必要だと思います。そのあたりの動きが今後の注目点なのかもしれません。



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