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2017年9月2日
「つみたてNISA」は日本の投資信託のコストを引き下げる原動力になる
金融庁はこのほど「つみたてNISA対象商品に係る事前相談の結果について」を発表しました。
つみたてNISA対象商品に係る事前相談の結果について(金融庁)
2018年から始まる「つみたてNISA」対象商品の要件を満たす商品は、7月末までの事前相談の段階で公募投信114 本、ETF6本となり、昨年11月から大幅に増加しています。さらに興味深いのが、信託報酬の平均も「つみたてNISA」対象商品の告示要件を大きく下回っています。やはり「つみたてNISA」は日本の投資信託のコストを引き下げる原動力になることが裏付けられたと言えそうです。
「つみたてNISA」 は、一定の要件を満たす投信・ETF が対象となり、金融機関は要件を満たす具体的な商品を金融庁に届け出なければなりません。今年10月から口座開設の申し込み受付が始まりますが、金融機関から「口座開設の申込みを受けるに当たり、具体的にどの商品を購入できそうか、必要な情報を顧客に提供したい」との要望があったことから、今回の事前相談が行われました。
その結果、7月末段階で「つみたてNISA」対象商品となる要件を満たす商品数と平均信託報酬率は次のようになっています。
本数が大幅に増えたのは、運用会社が「つみたてNISA」に向けた商品の拡充を進めたことが理由です。新規設定も多いですが、個人的に目を引いたのが、DC専用ファンドを一般販売に開放するものが19本もあるということです。DC専用商品には、現在でも極めて低コストなファンドが存在しますから、それらは一般販売に開放されるとなると、いろいろと面白いことが起こるのではないでしょうか。
そして何より興味深かったのは、「つみたてNISA」対象商品の信託報酬率(税抜)の平均です。インデックスファンドは0.34%、アクティブファンドでも1.09%となっています。これは金融庁が定めた0.5%と1.5%というそれぞれの上限を大きく下回る水準です。最近はインデックスファンドの低コスト化が進みましたから0.3%台でもあまり驚かなくなっているのですが、これは平均だということに注目です。まさに「つみたてNISA」は日本の投資信託のコスト水準を一気に引き下げる原動力となることは間違いありません。
また、運用会社のやる気も大いに感じました。要件上限の信託報酬を設定してセコくお茶を濁すのではなく、運用会社同士がまさにコスト面でのガチンコ勝負を挑もうとしているのがよく分かるのです。だからこそ今回発表された信託報酬率平均は、要件上限を大きく下回る水準になったのです。
「つみたてNISA」に向けて既存ファンドの信託報酬を引き下げる動きも相次いでいます。これまで既存ファンドのコスト引き下げというのはめったになかったことですが、今後はそれが一般的になるのでは。なぜなら、従来のようにファンドの新規設定によってコストを引き下げるやり方は、そのつど金融庁への届出が必要になるりますから、非常に手間がかかる。なので「つみたてNISA」対象商品に認定されれば、運用会社はその商品でファンド間の競争を戦わなければならなくなるのです。
今後、金融機関が健全な競争を通じて「顧客本位」の商品を販売するようになることへの期待は大きいです。まさに「つみたてNISA」は、日本の投資信託の世界を劇的に変えてしまう可能性を秘めていると感じました。
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「つみたてNISA」に向けた金融機関の動きに対して、たんに金融庁の威光を恐れ、それこそ忖度しているだけだという批判があるようです。しかし、やはり金融機関は営利企業として自主的に考えて、「つみたてNISA」への対応を進めているのではないでしょうか。なぜなら、金融機関にとって将来の市場と収益の源泉は、そこにしかないからです。このことは以前にブログでも指摘しました。
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