カテゴリー
▼
2017年8月28日
投資信託の購入時手数料を支払う時代は終わった―岡三オンライン証券の挑戦を評価する
よく「投資信託はボッタクリだ」と言われるのですが、その大きな理由がやたらと手数料を取られること。とくに購入時手数料は、その合理性が見えにくいことから長らく批判の対象でした。そこで最近ではノーロード(購入時手数料なし)が徐々に増えているわけですが、やはり銀行や対面型証券ではいまでも盛んに購入時手数料が必要なファンドが販売されています。そんな中、思いきった試みだと思ったのが岡三オンライン証券の「ZEROファンド」プログラムです。岡三証券グループのようなところまでがこういった取り組みをスタートさせたことに、投資信託の購入時手数料を支払う時代は終わろうとしているのだと感じました。
準大手証券の一角である岡三証券のネット証券部門として設立されたのが岡三オンライン証券です。ただ、ネット専業証券大手と比べると知名度も低く、あまり目立った特徴もありませんでした。ところ2017年4月から始まった3カ年経営計画の施策の一つとして大胆な方針を打ち出しました。それが「取引コストの低減(実質ノーロード化への挑戦)」です。これに基づきノーロードファンドの取り扱いを劇的に増やすと同時、購入時手数料が必要なファンドを購入すると購入時手数料相当をキャッシュバックしてくれる「ZEROファンド」プログラムをスタートさせています。
投資信託購入時手数料無料化(ノーロード化)のお知らせ~「ZEROファンド」プログラム・スタート~(岡三オンライン証券)
ノーロードファンドのラインアップを増やすだけでなく、キャッシュバックによって非ノーロードファンドも実質ノーロード化するという思い切った戦略です。さらに低コストインデックスファンドのラインアップも順次拡大され、今では大手のネット専業証券と比べても遜色のない商品ラインアップとなりました。大手ネット証券は現在でも購入時手数料が必要なファンドもたくさん売っていますから、この点だけを比較すると全ファンドを実質ノーロード化しようとしている岡三オンライン証券の方が上を行っているともいえそうです。
めったにないことですが、ときどき「これは!」と思うアクティブファンドを見つけることがあります。投資信託による投資はインデックスファンドを基本にするべきですが、コア&サテライト戦略として少しだけアクティブファンドを購入するのも悪くありません。ところが、せっかく「これは!」と思うファンドを見つけても、購入時手数料が必要だと買う気が失せるもの。そんなときに「ZEROファンド」プログラムが威力を発揮するでしょう。
また、流行のロボ・アドバイザー「投信ロボ」も用意されているのですが、これがなかなか優秀です。どの点が優秀なのかといえば、ちゃんと「あなたは運用商品を選ぶときにどちらに重点をおきますか?」という質問が用意されていて、ここで「費用の安さ」を選ぶと、きちんとコストの安いインデックスファンドによるポートフォリオを提案してくれます。あえて名前は出しませんが、アクティブファンドもインデックスファンドもごっちゃにして高コストな商品ばかり薦めてくる某大手ネット証券のロボ・アドバイザーとは大違いだ。
そのほかにも投資信託積立サービスの最低購入金額を100円に引き下げたりとサービスの充実を矢継ぎ早に実行しました。岡三証券とともに個人型確定拠出年金(iDeCo)の取り扱いも開始していますが、運営管理手数料は月額203円と比較的低廉ですし、商品も低コストなインデックスファンドをそろえるなど良心的なプランになっています。
岡三オンライン証券の新経営計画の名前は「ReBorn」だそうですが、たしかに計画にあるように「資産管理型ネット証券」へビジネスモデルを転換しようとしているのがよく分かる。目先の手数料稼ぎではなく、長期的な預かり資産額拡大によって収益を確保する形態に生まれ変わろうとしているのでしょう。その象徴が「ZEROファンド」プログラムに代表される大幅な手数料削減なのです。
こうした岡三オンライン証券の挑戦を私は評価します。なぜなら、このブログでも何度も書いていますが、こうした試みの先にしか日本の証券会社が生き残る道は残されていないからです。少なくとも岡三オンライン証券の「ZEROファンド」プログラムは、それまで当たり前だと思われてきた投資信託の購入時手数料を否定しているのですから、その意味は大きい。投資信託の購入時手数料を支払う時代は終わったのです。そして、こうした試みを堂々と実行する岡三オンライン証券は、個人投資家にとって有力な選択肢に浮上したと言えそうです。
【ご参考】
岡三オンライン証券の口座はネットから簡単に開設できます。⇒岡三オンライン証券
【スポンサードリンク・関連コンテンツ】