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2017年8月26日

含み損を経験しないと積立投資は儲からない―今月の積立投資(2017年8月特定口座)



インドネシア出張も無事に終了し、今日26日に帰国します。今回も交通渋滞に悩まされました。ほんと、インドネシアの渋滞はいあかわらずひどい。真面目な話、物流インフラの脆弱さが経済成長に悪影響を与えると危惧されているぐらいです。そんなこんなで忙しかったインドネシア出張でしたが、その間も自動積立サービスでインデックスファンドの買付がされているのですから便利なものです。そして8月は北朝鮮問題などもあって相場はやや軟調でした。最近に積立投資を始めた人の中には、含み損を初体験している人もいるのではないでしょうか。やっぱり初体験は不安になりますよね。でも、積立投資というのは、実は含み損を経験しないと儲からない投資手法なのです。

今月、特定口座で買い付けたファンドは以下の通りです。

【特定口座(SBI証券)】
ニッセイ日経225インデックスファンド
(信託報酬:税抜0.25% 信託財産留保額:なし)
<購入・換金時手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド
(信託報酬:税抜0.2% 信託財産留保額:なし)
たわらノーロード新興国株式
(信託報酬:税抜0.495% 信託財産留保額:0.3%)
Funds-i新興国債券・為替ヘッジ型
(信託報酬:税抜0.6% 信託財産留保額:0.3%)
世界経済インデックスファンド
(信託報酬:税抜0.5% 信託財産留保額:0.1%)
iTrust世界株式
(信託報酬:税抜0.89% 信託財産留保額:なし)

特に変化はありませんが、新興国株式インデックスファンドに関してはいろいろと考えています。いまは「たわらノーロード新興国株式」を購入していますが、さらに信託報酬の安い「eMAXIS Slim新興国株式インデックス」が7月31日に設定されました。けっこう順調に資金が流入しているようなので、私も近々、乗り換えようと思います。マザーファンドは通常の「eMAXIS新興国株式インデックス」と共通なので実質コストもそれほどおかしなことにはならないでしょうから。

ところで最近、今年5月から積立投資を始めたという読者さんからメッセージをいただきました。その中で、最近の相場軟調で含み損状態になっていて、ちょっと心配になったそうです。確かに慣れないうちは含み損っていやですよね。もう相場は回復しないのではないかと思ってしまう。でも、これは投資を始めた人が誰もが通る道です。

その上でぶっちゃけたことを書くと、じつは積立投資というのは一時的に含み損状態にならないと儲からない投資手法でもあります。つまり、投資期間のチャートの形によってリターンが変わってくるからです。

ものすごくざっくりと書くと、相場の長期的なチャートの形には次のようなパターンがあります。

Aパターン:右肩上がり
Bパターン:右肩下がり
Cパターン:下落後に上昇(V字型)
Dパターン:上昇後に下落(△型)

一括投資の場合、いちばん儲かるのはAパターン。Cパターンの場合は株価が投資開始時を上回る水準まで上昇すれば利益が出ます。一方、Bパターンなら損失ですし、Dパターンなら投資開始時の株価まで下がらなければ利益が残りますが、それを下回ると損失になります。

一方、積立投資の場合はAパターンで儲かり、Bパターンで損失になるのは一括投資と同じですが、Cパターンの場合は下落時に買付を続けることで平均購入価格が低下していますので、投資開始時の株価まで戻らなくても利益が出るようになります。その代わり、Dパターンの場合は上昇時の買付で平均買付価格も上昇しているので、投資開始時の株価まで下落する前に損失になります。

こうして比べると、確率論としては一括投資も積立投資も同じなのですが、利益が出る際の経路が違います。この4パターンのうちで最も利益が出るのは、一括投資の場合ならAパターンですが、積立投資ならCパターンです。なぜなら、Aパターンだと積立投資の場合、平均買付価格も上昇していますから一括投資よりも利益が小さくなる。ところCパターンなら逆で、一括投資は株価が元に戻っても利益はトントンですが、積立投資は平均買付価格が下がっている分だけ利益が増える。

これは何を意味するのかと言うと、投資を継続する中で経験する含み損の意味が全く異なるということです。一括投資の場合、含み損は単なる含み損ですが、積立投資にとって含み損は将来の利益の仕込みとなるわけ(もちろん、もし相場がBパターンなら損失を拡大しているわけですが、その場合は一括投資でも損をしています)。

ここに積立投資には一種の「精神安定剤」的な効用がある。誰だって含み損はしんどいものです。そして多くの個人投資家は、その辛さに耐えられずに投資を止めてしまう。しかし、積立投資なら将来の上昇を楽しみにして含み損に耐えやすい。それが結果として長期投資を続ける助けとなるわけです。

だから積立投資にとって含み損の状態が続くということは、将来に上昇相場に向けた大切な準備期間なのです。ここで積立を続けることが、将来のリターンを大きく左右するのですから。少なくとも、そういった感覚を持てるようになれば、長期投資の成功率はぐっと高まるでしょう。

確かに含み損になれば不安なものです。しかし、その不安を乗り越えないと、将来のリターンもない。ここに投資の難しさと醍醐味があります。だから、最近に積立投資を始めた人には、ぜひこの不安を乗り越えて欲しいと思うのです。

【ご参考】
私がざっくりと説明したことをもっと精密に検証しているのがカン・チュンドさんの『忙しいビジネスマンでも続けられる 毎月5万円で7000万円つくる積立て投資術』と星野泰平さんの『終わりで大きく儲かる「つみたて投資」』です。積立投資について研究したい人は、ぜひ参照してみてください。





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