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2017年7月16日
「たわらノーロードバランス(8資産均等型)」が登場―良心的なファンドだが次の一手にも期待したい
またまた良心的なファンドの登場です。アセットマネジメントOneが7月28日に低コストバランス型インデックスファンド「たわらノーロードバランス(8資産均等型)」を新規設定します。販売会社はSBI証券からです(おそらく他のネット証券でも順次販売されることでしょう)。
低コストファンドシリーズのバランス型ファンド設定 -「たわらノーロード バランス(8資産均等型)」(アセットマネジメントOne)
バランス型インデックスファンドは資産配分のコンセプトの勝負ですが、AMOneが選んだのは根強い人気がある8資産均等型でした。信託報酬0.22%(税抜)と業界最低水準ですから極めて良心的。リリースにもある通り、一般販売だけでなく個人型確定拠出年金(iDeCo)への投入や2018年から始まる予定の「つみたてNISA」対象商品も視野に入れているということですから、大いに期待したいと思います。ただ、「たわらノーロード」シリーズとしての販売戦略から見ると、やや物足りない点もあります。
バランス型インデックスファンドの中で8資産均等配分というのは、その割り切った資産配分コンセプトが清々しく、なかなか人気があります。そのため低コストインデックスファンドシリーズの中でも競争が激化していました。今回新規設定される「たわらノーロードバランス(8資産均等型)」の競合商品としては次の2ファンドがあります。
「iFree8資産バランス」(税抜信託報酬0.23%)
「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」(税抜信託報酬0.22%以内)
このうち「iFree8資産バランス」は、資産配分に含まれる新興国株式インデックスファンドのベンチマークがファンダメンタルインデックスであるFTSE RAFIエマージング・インデックスですから、新興国株式インデックスファンドのベンチマークがMSCIエマージング・マーケット・インデックスである「たわらノーロードバランス(8資産均等型)」とは厳密には投資対象を異にするファンドだと言えます。信託報酬では「たわらノーロードバランス(8資産均等型)」の方がわずかに安いですが、FTSE RAFIエマージング・インデックスを好む投資家は引き続き「iFree8資産バランス」を購入することでしょう。
そうなると「たわらノーロードバランス(8資産均等型)」の最大のライバルは「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」ということになりますが、ちょっと差別化戦略が弱かったかもしれませんね。信託報酬は同じですが「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」は受益者還元型信託報酬が導入されていますので、純資産残高が500億円を超えると自動的に信託報酬が引き下げられるからです。つまり、コスト面で「たわらノーロードバランス(8資産均等型)」に優位性はいまのところありません。
さらにマザーファンドの規模を見てもほぼ互角ですから、運用の精度でも大きな差は出そうにない。そうなると、すでに純資産20億円を超える「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」から乗り換えようとする投資家は少ないでしょう。また、「eMAXIS Slim」シリーズは“常に業界最低水準のコストを追求”することをコンセプトにしたシリーズですから、新規で購入する投資家も、あえて「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」ではなく「たわらノーロードバランス(8資産均等型)」を選ぶインセンティブが弱いのです。
もっとも、「たわらノーロードバランス(8資産均等型)」にも優位性を発揮できる部分があります。ひとつは販路でしょう。現在、「たわらノーロード」シリーズは楽天証券、みずほ銀行、イオン銀行などのiDeCoにラインアップされています。いずれも運営管理手数料が無料になる極めて良心的なプランですからそれなりの加入者を集めるはず。この販路に「たわらノーロードバランス(8資産均等型)」も投入してみては。iDeCoでもバランスファンド1本で“ほったらかし運用”をしたいというニーズはけっこうあるはあずですから、かなり人気商品になると思うのです。
こうした点を含めて「たわらノーロード」シリーズには次の一手を期待したい。例えば信託報酬を少しでも引き下げて「業界最低水準」の座を確保するもよし、あるいは受益者還元型信託報酬を導入して「eMAXIS Slim」との差を縮めておくというのも有効な戦術でしょう。逆に言うと、そういった思いきった手を打たないと、たぶん「eMAXIS Slim」との競争においてジリ貧になる危険性があると思うのですがAMOneさん、いかがでしょう?
それと「たわらノーロードバランス」という商品として次の手を打つという方法もあります。現在、バランス型インデックスファンドの中で人気を集めているのは均等配分型のほかに、時価総額加重平均型とGDP比例配分型のグローバルバランスファンドがある。つまり、セゾン投信の「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」、三井住友トラスト・アセットマネジメントの「世界経済インデックスファンド」「SMTインデックスバランス・オープン」に対抗するバランス型インデックスファンドを「たわらノーロードバランス」として低コストで投入すれば、かなり話題になるのでは。
「つみたてNISA」が始めればバランス型インデックスファンドの重要性というのはますます高まります。その意味で「たわらノーロード」にはいろいろな資産配分コンセプトのファンドで低コスト競争をリードして欲しいと思う。だからこそ次の一手に期待したいと思います。
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