カテゴリー
▼
2017年4月13日
積立NISAに向けてバランス型インデックスファンドの低コスト競争を期待
2018年から積立NISAが始まるのに合わせて、ぜひ期待したいことがあります。それは、バランス型インデックスファンドの低コスト競争が加速しないかなということ。NISAは売買ともに投資枠を消費してしまうのでグローバルポートフォリオを組んで国際分散投資する場合、リバランスが非常にやりにくい。そこでNISA口座では投資枠を消費せずにファンド内で自動的にリバランスしてくれるバランス型ファンドを買うという方法が有力な選択肢となるからです。運用会社と販売会社にとっても積立NISAが始まればバランス型インデックスファンドのラインアップは重要な訴求ポイントになるはず。ただ、積立NISAは対象ファンドの信託報酬に上限が課されますから、中途半端なコスト水準のファンドでは訴求が弱い。ということで、ここはひとつ積立NISAに向けてバランス型インデックスファンドの低コスト競争が起こることを期待したいものです。
積立NISAは基本的に投資初心者に向けた制度設計がなされていますから、まずは積立NISA口座だけで投資をスタートさせる人も少なくないと思います。その場合、国際分散投資に必須な定期的なリバランスをどうするのかというのはひとつの課題でしょう。個別ファンドを組み合わせてポートフォリオを作った場合、NISAは購入だけでなく売却でも投資枠を消費してしまいますから、オーバーウエートになっているファンドを売却し、アンダーウエートになったファンドを購入するという通常のリバランスがやりにくいのです。アンダーウエートになったファンドを多めに購入するだけのノーセル・リバランスをするとしても、理想の資産配分を実現するためのウエート・金額計算が必要ですから、はっきり言って投資初心者にはハードルが高い。
そこで投資枠を消費せずにファンド内で自動的にリバランスしてくれるバランス型インデックスファンドを購入するというのもの有力な選択肢になります。これなら初心者でも簡単に本格的な国際分散投資ができる。ただし、バランス型インデックスファンドはポートフォリオの資産配分がそれぞれ異なりますから、自分が目指すリスク・リターンに見合った資産配分のファンドを選ぶことが最も大切です。その上で、より低コストなファンドを選ぶべき。これは積立NISAでも同じです。最近では低コストなバランス型インデックスファンドも増えていますから、選択肢も豊富になっています。例えば、ざっと思いつくだけでも以下のファンドなどは、積立NISAで購入するファンドとして有力な選択肢になりそうです(資産配分などはリンク先を確認してください。カッコ内は信託報酬<税抜>です)。
iFree8資産バランス(0.23%)
<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)(0.34%)
三井住友・DC年金バランス70(株式重点型)(0.24%)
三井住友・DC年金バランス50(標準型)(0.23%)
三井住友・DC年金バランス30(債券重点型)(0.22%)
いずれも極めて低コストで国際分散投資ができます。その上で、これら“超”低コストバランス型インデックスファンドに加えて、以下のような実績のあるバランス型インデックスファンドも積立NISA向けとして注目しています。
世界経済インデックスファンド(0.5%)
世界経済インデックスファンド(株式シフト型)(0.55%)
世界経済インデックスファンド(債券シフト型)(0.45%)
SMTインデックスバランス・オープン(0.5%)
eMAXISバランス(4資産均等型)(0.5%)
eMAXISバランス(8資産均等型)(0.5%)
また、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド(0.47%+投資対象ファンド信託報酬<実質的な信託報酬は税込み0.69%±0.03%>)もセゾン投信での直販だけでなく、ゆうちょ銀行で積立NISA口座を開設する場合に有力な選択肢になりそうです。これ以外にもeMAXISバランス(波乗り型)やeMAXIS最適化バランスシリーズ、野村インデックスファンド・海外5資産バランス、野村インデックスファンド・内外7資産バランス・為替ヘッジ型などは資産配分に少しクセがありますが、比較的良心的なバランス型インデックスファンドです。
そして、ここで注目したいのが世界経済インデックスファンドやSMT、eMAXISなどの動向。こうして並べてみると、やはりiFreeや<購入・換金手数料なし>、三井住友・DCと比べて明らかに信託報酬が割高に見えてしまうからです。そして後者は基本的にネット証券でしか販売されていません。一方、前者は数多くの大証券会社とメガバンク、地方銀行で販売されています。そこで前者を扱っている証券・銀行はよくよく考えないといけないと思う。積立NISAは1人1口座しか開設できませんから、口座獲得競争が起こるのは必至です。その時に重要になるのが、どれだけ魅力的なファンドを取り扱っているか。新たに“超”低コストインデックスファンドの取り扱いを開始するのもいいですが、思い切って運用会社と協力して世界経済インデックスファンドやSMT、eMAXISといった実績のあるファンドの信託報酬引き下げに挑戦してみては。それなら既存の受益者も嬉しいですから積立NISA以外でも資金流入が増えるかもしれません。
そういう意味でも積立NISAに向けて「ここが勝負所」とばかりに、運用会社と販売会社がバランス型インデックスファンドでも低コスト競争を起こしてくれることを期待しているのです。
【お詫びと追記】
記事を書いてしばらくして気づいたのですが、ここで紹介したバランス型インデックスファンドが、実際に積立NISA対象商品として認定されるかは現段階では不明な面があります。例えば世界経済インデックスファンドは、目論見書ベースでは購入手数料をとることが可能になっていますので、積立NISA対象商品の条件であるノーロードには厳密には当てはまりません。ただ、金融庁の説明会では、そういったファンドも実際にノーロードで販売されている場合は積立NISA対象となる可能性が言及されました。こうした点も含めて、正式のアナウンスを待ちたいと思います。
【スポンサードリンク・関連コンテンツ】