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2017年4月3日
企業型確定拠出年金の商品ラインアップにも規制が必要だと思う
以前にもブログで書いたのですが、弟の勤務先が加盟してた厚生年金基金が解散することになり、今年から企業型確定拠出年金に移行するそうです。そのため移行の是非を含めて労使交渉が行われ、最終的に某メガバンクの企業型確定拠出年金プランを採用する方向だとか。そういった話を聞いていて改めて思ったのは、企業型確定拠出年金こそ商品ラインアップへの規制が必要ではないかということです。現在、積立NISAの対象となる金融商品に関する規制が議論されていますが、その流れでぜひ企業型確定拠出年金の商品ラインアップへの規制も議論するべきでしょう。
確定拠出年金は企業型・個人型を問わずに運営管理金融機関のプランによって商品ラインアップが全く異なります。このためプラン選定の際は運営管理手数料に加えて低コストな商品をラインアップしているかどうかも重要な選択基準となります。
ところが企業型確定拠出年金の場合、プラン選定の過程でとても商品ラインアップにまで議論が及んでいません。プラン選定は労使合意事項なのですが、労使ともに金融商品に対する知識が不足しているし、そもそもコストの多寡を判断する基準となる"相場観"を持ち合わせていないというのが実態です(弟の勤務先企業でもそんな感じでした)。このため高コストな商品ばかりのプランを採用してしまい、結果としてその企業の従業員が割高なコストを負担するという状態が散見されるわけです。
こういった状態は極めて問題が多いと思う。なぜなら、昨日のエントリーでも指摘したように、確定拠出年金は公的年金の補完制度であり、極めて高度な公益性が求められてしかるべきだからです。金融機関は、フィデューシャリー・デューティーの観点はもちろん、公的年金の補完という公益性の観点からも、受益者の利益を自社の利益より優先しなけければなりません。それは、可能な限り低コストな商品ラインアップを揃えるということです。
しかも企業型確定拠出年金は、その企業の従業員が原則として強制加入となります。これは加入者が自由にプランを比較して金融機関を取捨選択できる個人型とまったく異なる点であり、それゆえに企業型には個人型以上の公益性が求められるべき。そのかわりとして強制加入や、加入企業への独占契約が認められているわけですから。
そういった観点から、企業型確定拠出年金の商品こそ、ラインアップや信託報酬水準に何らかの規制を設けるべきでしょう。現在、積立NISAの対象となる金融商品への規制が議論されていますが、それと同等もしくは上回るレベルでの規制が必要だと思う。そうすることで、例えば高コストなアクティブファンドだけのラインアップや、業界最低水準を大きく上回る信託報酬のインデックスファンドといったものを排除する必要があると思うのです。
こうした問題を議論するためには所管官庁の連携も必要でしょう。確定拠出年金は制度を厚生労働省、商品は金融庁が監督しているわけですから、厚労省と金融庁が協力することが不可欠。しかし、役所というのは基本的に縦割りですから、他省庁の縄張りに口出ししにくいものです。だから、ほっておいてはいつまでたってもこの問題は解決しません。やはり受益者である国民が広く声を上げることが重要になると言えるでしょう。
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