1本で国際分散投資ができる良質のバランスファンドといえば、世界経済インデックスファンドとセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドの2本が代表格です。リバランスの手間もかけずに究極の“ほったらかし投資”ができる投資信託です。どちらも世界の株式と債券を50:50の割合で分散投資するバランスファンドであり、どちらを選択すべきかは完全に好みの問題といえるでしょう。私は世界経済インデックスファンドをポートフォリオのコアに置いています。選択のポイントになったのは、新興国投資に関する考え方でした。
世界経済インデックスファンドは、三井住友トラストアセットマネジメントのSMTインデックスシリーズと同じマザーファンドに投資するベビーファンド方式のバランスファンドであり、信託報酬は年率0.54%。一方、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドは、バンガード社のインデックスファンドにファンド・オブ・ファンズ方式で投資するバランスファンドであり、信託報酬は0.5076%。しかしFoF方式なのでバンガード社のファンドのコストも加算されますから実質は年率0.74%±0.03%となります。
このように若干の違いはありますが、いずれも世界の株式と債券を50:50の配分で低コストに投資できる良質の設計となっており、甲乙つけがたいものがあります。ただ、大きな違いは資産配分の中身です。世界経済インデックスファンドはGDP比率、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドは時価総額比例で世界の株式と債券を配分することになります。いずれも人間の主観を排除して機械的に配分するため、相場動向に左右されずに配分を決定できる優れた仕組みですが、中身はだいぶ異なってきます。
世界経済インデックスファンドの資産配分は次のようになっています。
一方、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドの資産配分は次のようになります。
最大の違いは、新興国への配分です。新興国は経済成長によって世界経済の中でのウエートが高まっており、GDP比率で配分する世界経済インデックスファンドには、それが明確に反映されます。しかし、株式にしろ債券にしろ時価総額ではまだまだ先進国が圧倒的なウェートを占めるので、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドでは、新興国への投資がそれほど大きなウエートを占めることにはなりません。この違いをどのように判断するかが、両ファンドを選択するときのキーでしょう。つまり、新興国株式と新興国債券への投資をどれだけ行うかという好みで判断が分かれてくるのです。
そして私自身は、やや新興国に厚めに配分する世界経済インデックスファンドの方が好みでした。新興国への投資は人によって判断の分かれるところです。株式はまだしも、とくに債券に至っては“新興国債券投資不要論”もインデックス投資家の間で根強い。でも、私は“新興国債券投資は必要”との立場をとっていますので、その意味ではセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドはちょっと物足りなかった。やはり新興国への投資の方が、なんとなく未来志向な気がします。しかし、これはあくまで個人の好みの問題ですが。
もちろん、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドにも独特の魅力があります。それは運用会社であるセゾン投信と受益者のリレーションシップです。運用会社と受益者が直接交流できるのは直販投信の強みです。これはちょっとうらやましい。セゾン投信と交流するために、少額だけでもセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドを購入しようか思っているぐらいです。
いずれにしても両ファンドとも極めて良質のバランスファンドですから、もし株式と債券が50:50で配分するバランスファンドを考えるなら、ほぼ間違いなく最有力候補となる商品。あとは新興国投資に対してどういった考え方をするのかを考えて選択すればいいでしょう。
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