ほんの数年前まで、低コストのインデックスファンドといえば、
SMTインデックス(三井住友トラスト・アセットマネジメント)
インデックスe(三井住友トラスト・アセットマネジメント)
eMAXIS(三菱UFJ投信)
Funds-i(野村アセットマネジメント)
の4シリーズが注目されていたわけですが、ここにきて勢力図は大きく変わりつつあるといえるでしょう。ひとことでいうと、“2強+1”の構図が定着しつつあるような気がします。
2強とは、SMTインデックスとeMAXIS。いち早くシリーズ累計で純資産総額1000億円を達成し、その後も順調に純資産総額を積み上げています。モーニングスターのデータを参照すると、毎月確実に資金流入となっていることが分かります。それだけ積立購入している人が多いわけです。
両ファンドシリーズの強みは、なんといっても先行者利益(どの国でもインデックスファンドは先行者利益が極めて大きい商品です)とラインアップの充実に加えて、販売会社の多さ。とくに証券会社だけでなく、地方銀行にも販路を広げていることに注目しています。将来、これが効いてくるような気がします。というのも地方銀行の多くは現在、今後の収益モデルを模索していることでしょう。当面は地方のお金持ちの高齢者を相手に高コスト投信を販売することでしのげるでしょうが、これは所詮、焼き畑農業。先見の明がある経営者なら、若年・ミドル層の資産運用の囲い込みを考えていてもおかしくありません。その際、ノーロードの低コストインデックスファンドをラインアップしていることが生きてくるのではないでしょうか。
そして現在、2強に続くファンドとして急速に注目を集めているのがニッセイアセットマネジメントのインデックスファンド。「購入・換金手数料なし」シリーズというわかりやすいコンセプトで強力なコスト競争力を打ち出しています。先ごろ発表された「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2014」でもニッセイ外国株式インデックスファンドが1位に選ばれるなど熱い支持を集めています。もともとニッセイアセットマネジメントのインデックスファンドは、ニッセイ日経225インデックスファンドという強力な商品があり、圧倒的な低コストで人気を集めていました。ニッセイ日経225だけで純資産総額は800億円弱ですから、ニッセイアセットマネジメントのインデックスファンドもシリーズ全体で純資産総額は1000億円を超えています。この勢いが今後どうなるのか注目でしょう。
一方、ここにきて微妙な立場に立たされているように感じるのがインデックスeシリーズです。どうも三井住友トラスト・アセットマネジメントは、旧中央三井系ファンドの販売に熱心ではありません。実績もあっていいファンドなんですけどね。コストも安く、インデックス投資家の間では根強い人気があるだけにもったいない気がします。ついでに言うと、三井住友トラスト・アセットマネジメントはSMTの姉妹ファンドともいうべき世界経済インデックスファンドの打ち出しにもっと力を入れるべきでは。思い切ってSMTシリーズに加えてしまって、販売会社の拡大を進めるべきだと思っていたのですが、実際はREITを加えたバランスファンドであるSMTインデックスバランス・オープンを設定するというのは、どこかチグハグな印象を受けました。
そして、いちばん微妙な立場になってしまったのはFunds-iです。とにかく純資産総額の伸びが鈍い。ラインアップも個性的ですし、個別に見れば優秀なファンドも多い。専用サイトの充実度も他社を圧倒しています。販売会社もネット証券から中堅小手の証券会社、そして地方銀行まで幅広く網羅しているのですが、まったく勢いがありません。こうなると結局、販売をリードすべき立場の野村證券にやる気がないと思われても仕方がないでしょう(野村が本気になれば、爆発的に純資産を増やしてもおかしくありません)。やっぱり野村證券からすれば、儲からないからでしょうね。個人投資家からすると、どうしてもそんな野村證券の姿勢が透けて見えるので、ちょっと買うのをためらってしまう。結局、運用会社のやる気が明確に見えるSMTとeMAXIS、あるいはコスト最安値のニッセイを選択してしまう。
こう考えると今後、低コストインデックスファンドの勢力図は今後、ますます“2強+1”の構図が定着していくような気がします。
【スポンサードリンク・関連コンテンツ】